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『若き豪商とお忍び王女』

やってしまいました、エイリズです。
キャラ違う、とかの苦情は……こ、心の中で思っておいてくださいゴメンナサイ…。

ハンアニ『ダンスパーティ』の裏話、という位置づけです。


私が勝手に妄想したリズアトのその後とかがふつーに絡んできますので、苦手そう、という方はご注意ください><



※前作『リーズのアトリエ』のキャラクターが登場します。
※一応リンク、リズアトのキャラ紹介なんかが載っている公式サイトは、コチラです(たぶんPCのみ。







*****






『若き豪商とお忍び王女』




「──じゃ、ミッションの説明をするね」
 声を潜めて、リーズはいった。
 手紙を受け取り、嬉々としてセラ島まで足を運んだ若き豪商──とはいえ、そう呼ばれ始めてから数年が経ってしまったが──は、出会って早々の「ミッション」に苦虫をかみつぶしたような顔をする。
 町の入り口まで迎えに来たかと思えば、交わす言葉もそこそこに、そのままレストランに直行。ランチを前に、唐突に本題へ。
 あまりにも味気ない。
 感動の再会に伴って、熱い抱擁や接吻や……その他モロモロを期待していなかったわけではないのだ。
 無論、予想はしていなかったが。
「わざわざありがとう、とか──久しぶりに会えて嬉しいわ、とか。思ったことをもっと素直にいったらどうだ、リーズ。オレはこうして君に会えて、嬉しくてたまらないんだが」
「ああ、そう? 久しぶり、エイリー。相変わらず元気そうね」
「…………」
 エイリーは黙った。この手強さは変わらない。

 リーズがミスリーンから姿を消して数年、彼の財力を持ってしても、彼女に会うのは容易ではなかった。叶ったとしても、まったく立場の違うもの同士。王女と、良くも悪くも「成り上がり」──対等に会話できる機会など、ない。
 だからこそ、彼女自身が抜け出してきてくれるのを期待するしかなかった。時折ミスリーンに現れても、まるで旅の途中にふらりと立ち寄ったかのように、すぐに姿を消してしまった彼女。事情を考慮すればもっともではあったが、だからといって諦められるというものでもない。
 だが、セラ島で錬金術大会が開催されてからというもの、彼女はある程度自由がきくようになったようだ。
 今回も、わざわざ手紙を出すという、彼女にしては異例の行動。頼みがあるから来て欲しい、というその文面は、それだけでエイリーのテンションを急上昇させた。
 商談の一つや二つや三つや四つ、そっちのけで島までやってきた。
 ──というのに、この対応。
 それでも、嬉しくてたまらないというのは本心に他ならず、エイリーは苦笑した。

「で、お姫様。君の美の忠実な臣下であるオレは、何をすればいいんだ?」
「ふつーに話してよ、もう。エイリーのそういうところがダメなんだよ、わかんないかなあ」
 対リーズ戦を考慮して、ある程度冗談めかした口説き文句も一蹴される。ダメ、の一言にさりげなくショックを受けながらも、エイリーは先を促した。
「パーティ、だろ? いわれたとおり、オレも受け取ったぜ、紹介状。ま、コネありきだが」
「うん、そう。それは手紙に書いた通り。──問題は、この島であたしの妹みたいにかわいいアニーと、アニーを担当してる天然記念物純朴奥手青年、ハンスのことよ」
 ハンスという名に、エイリーはふむ、と瞳を伏せる。加えて、錬金術師を担当、というキーワード。
「それは、ハンス・アーレンスか?」
「知ってるの?」
 リーズが目を丸くして、素っ頓狂な声をあげた。こうして共にいるというのに、他の男の名に過剰な反応を示したのが気に入らず、エイリーは黙る。不機嫌さを隠そうともせず。
「……妬けるな。どんな事情であれ、君の口から男の名が出ることを、オレが喜ぶと思うか?」
 リーズは驚いたようだった。目を見開いて、それから眉をひそめる。
「──は? ナニいってんの? だいじょうぶ?」
 どこまでも手強い。

 エイリーはごほんと咳払いをした。このままでは、自分のぺースに持っていくどころか、てのひらの上で踊るだけで終わってしまう。
「まあいい、無事にミッションを遂行すれば、ご褒美がもらえるんだろうしな。──で、そのアニーとハンスが、どうしたんだ?」
「ご褒美……?」
 せっかく話を進めようとしているのに、リーズはそこに食いついた。
 エイリーは小さく笑って、窓の外に目をやる。ちょうどそこに話題の人物を見て、顎で示した。急いでいるのか、通りを早足で歩いている。
「あれだろ、ハンス・アーレンス。アーレンス家ってのは結構な家柄なんだ。パーティなんかで、顔を合わせたことがある──マジメを絵に描いたような、実直青年だろ?」
「実直青年……っていえば、そうなんだけど。これが、ある女の子を前にすると、もう人が変わったみたいな純情青年なの。というより、異性が苦手らしくて、女の子とまともにしゃべれないんだけどね。アニーは例外」
「異性が、苦手、だと……っ?」
 エイリーは激しくショックを受けた。のけぞり、ふらふらとよろめく。昼間、しかも室内だというのに、背後に雷鳴すらとどろいた。ビシャーン。
「じゃああいつは、何のために生きているんだ……っ?」
「まあ、エイリーにとってはもう異星人だよね」
 リーズもさらりと納得する。

 異星人をもっと観察しようと、エイリーは窓の外に視線を戻した。見ると、彼は足を止めたところだった。表情が軟らかくなり、微笑んでいる。
 パーティで会えばいつも固まったように立っている彼が、慈しむような表情をしていることは、エイリーにとって驚きだった。同時に、興味が湧く。
 視線の先を見ると、大きな帽子とマントを身につけた、小柄な少女。ということは、あれがアニーなのだろう。
「かわいい子でしょ。あたしの妹なの」
 まさか本当に妹というわけではないだろうが、リーズの声が実に楽しそうで、エイリーも笑みをこぼした。
「なるほどね、出会ったころの誰かさんを彷彿とさせる。俄然、応援したくなってきたぜ」
 リーズは特に否定はしなかった。柔らかく微笑んで、それからもう一度声を潜める。
「──ミッションは簡単よ。あの二人はパーティに出席するけど、アニーはハンス以外の男性に誘われてるの。ハンスと踊りたいっていうから、ダンスまで教えてあげたのに……タダで。これって問題でしょ?」
「問題だな」
 実のところ、問題なのがアニーがハンス以外の男とパーティに行くことなのか、それともダンスをタダで教えたことなのかはわからなかったが、エイリーはうなずいておいた。言及すれば、おそらくその両方だと答えられるだろう。
「奥手でヘタレなハンス君がぐずぐずしている間に、世間慣れしてないアニーがオオカミに食べられちゃったら大変だもん。そのあたり、エイリーにそれとなく見てて欲しいってわけ。別に、ハンスの背中を押せとはいわないからさ。さすがに王宮主催のパーティなんて、あたしが行くのはまずいし……──ね、お願い」
 ミスリーンの友人仕込みの「お願い」は、相変わらず効果絶大だった。そうでなくとも、エイリーがリーズの頼みを断れるはずもない。
「よくわかった。任せとけ。──その代わり、ご褒美、考えとけよ」
 ほとんど本気でそういうと、リーズは息を飲む。
 数十秒の沈黙の後、恐る恐る、彼女はいった。
「……お金、とるの?」



   *



 パーティ会場では、錬金術師アニーは、彼の予想以上に注目を浴びていた。普段の格好があまりにも少年的なので、かえって目を引いたともいえる。
 いわれたとおり、エイリーはハンスに近づいた。まったく知らない仲でもないので声をかけたが、その余裕のなさに苦笑する。天然記念物純朴奥手青年──リーズは彼のことをそう形容したが、エイリーの見る限り、とてもそうとは思えなかった。
 好きな少女のことで一喜一憂し、顔色を変え、我を無くしてしまっているその姿は、どこにでもいる、普通の男に他ならなかった。

 アニーに近づいているのは、あまりいい噂を聞かない青年だ。それとなく観察していると、どうやらうまく酒を勧めたらしい。ジュースのように甘く、それでいて高アルコールの、酔わせるにはもってこいの酒だ。アニーは警戒せず、何杯も飲んでしまっている。
 そのうちに、アニーを抱きかかえるようにして、青年が姿を消した。
 さすがに、よくない事態だ。ハンスを促すか、いっそ自分が出るか──そう思ってハンスの姿を探す。
 そうして、安堵した。
 見えたのは、怒りを背負って走り出した彼の背中だった。
「こんな場所で、あんな必死に走っちゃって……若いねえ」
 思わずつぶやく。
 ともあれ、エイリーの仕事はこれで終わりだった。あとは心おきなく、商談に繋がりそうな相手に顔を売って、退散するだけだ。

「遅いってのよ、動き出すのが。ああもう、ハラハラした」
 聞こえた声に、耳を疑った。
 派手すぎず、地味すぎず──ホールにとけ込むことを第一としたドレスに身を包んだどこぞの国の王女が、憤然と仁王立ちしていた。
「ど、どうしてここに」
「だって心配じゃない。あ、エイリーを信じてなかったとかじゃないの。それにもしハンスが行動を起こすなら、そんな面白そうなこと、見逃すわけにいかないでしょ」
「…………」
 冷や汗を流し、エイリーは思わず周囲を見回す。これといって注目されているというわけではないが、気づかれるのは時間の問題だ。
 立場というものが本当にわかっているのだろうか──わかっているとしても、おそらくは考えていないに違いないリーズに、エイリーは破顔した。
 国の危機とあれば、隣国へたった一人で飛び込み、友人の危機とあれば、危険も顧みずパーティ会場にやってくる。
 彼女の思考回路は、いたってシンプルだ。
 だからこそ、惹かれた。
「……オレを頼ってくれたものと、思ってたんだが?」
「頼ってるよ。でも、ついでも思い出しちゃって」
「ついで?」
 心当たりがなく、首をかしげる。リーズはにっこり笑って、エイリーの手を取った。
「せっかくだから、踊りたいじゃない?」
 エイリーは息を飲む。ここまでのご褒美は予想していなかったし、期待もしていなかった。 
 それは、どういう意味なのだろう──深いところまで考えようとして、不覚にも感動のあまり、胸が熱くなる。
 苦節──何年かは数えていないが──苦節、数年。
 彼女の笑顔が、確かに自分だけに向けられている。

 ドレスに身を包んだ彼女は、美しかった。けれど、リーズが美しいということなど、とっくにエイリーは知っていた。
 出会ったころは恋といいつつも、興味が勝っていたかもしれない。自分らしくあることを第一とした、奔放な女性。周囲の波がどれほど激しくても、いつだって自分のありたいようにあり、まっすぐに立っていた。
 それこそが、美しさだった。
 いまでさえ、着飾った外見の美しさよりも、彼女がここにいるという事実だけで、エイリーはリーズに酔いしれた。
 手に入れたいという、欲望ではない。
 彼女の笑顔が見たい。
 彼女と共にいたい。
 年甲斐もないかもしれないが──それは確かに、恋と形容される、想い。
「まったくだ」
 笑い返して、細い手を引いた。
 そのままダンスホールまで導こうと、足早に歩きだす。

「リーズ!?」
 素っ頓狂な声が、かけられた。
 エイリーは肩を落とした。その声が誰のものなのかも、この後のシナリオも、すべてがわかってしまった。
「あはー、そんな気がしてた」
 リーズが頬を掻く。エイリーの手をぐいと引くと、飛びつくようにその頬に口づけをした。
「……っ?」
「あとのフォロー、よろしくね」
 ウィンクをして、手を離す。そのまま、見事な軽やかさで人垣を縫って進むと、あっという間に見えなくなってしまった。
「…………」
 エイリーは、声もない。昔から、彼女には翻弄されっぱなしだ。
「あれ、いまリーズが……──あ、エイリーさん? リーズ、いましたよね?」
 恐らく会場中の誰よりもきらびやかに着飾った女性が、そう尋ねてきた。
 ロロット・ステイシル。「リーズ」の友人だ。
 エイリーは肩をすくめてみせる。
「何を馬鹿な。どうしてリーズがこんなところにいるって? 君こそ、こんな島のパーティにどうして」
 エイリーの言葉に、ロロットは納得したようだった。彼女の正体を知らなければ、もっともなことだろう。
 それから、エイリーの言葉に極上の笑顔を浮かべる。小首をかしげるようにして、
「それは、ナイショです。ごきげんよう、エイリーさん。今日という日にお会いできたこと、とても嬉しく思いますが──ちょっと、急ぐので」
 人差し指を唇にあてた。艶やかに微笑んで、楚々としてその場をあとにする。
 歩き去る後ろ姿を、複数の視線が追いかける。あの美人は誰だ、ステイシル家の……そんな囁きすら聞こえてくる。
「あの影響か……」
 リーズの無二の友人を見送り、エイリーは苦々しく笑った。




 その後しばらくの間、セラ島の各地では、リーズと謎の美形とのデート現場が目撃されたとかされないとか──









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エイリズ、すごーく好きなんです。
リズアトプレイ時に、「エイリズ」で検索しまくったもんでした。当時は自分で書こうという発想はなかったのですが、まさかこうして手を出す日が来るとは……。

リズアトその後の妄想は、
① なんだかんだでリーズはミスリーンに顔を出している。(出していて欲しい。
② とはいえ、ロロットとかに正体は明かしてなさそう。(特に根拠なし。
③ エイリーにはバレバレ。彼はしつこいんだ(これはもう公式で。
④ ロロット嬢は相手に求めるものが高すぎて、まだ独身(リアルな友人とキャラがかぶるんだ。←そしてパーティとかは=合コンな感じで、ガツガツ出席してそう。
⑤ アルフとカイルって同じ声じゃん!(これは妄想じゃない。

とかそんなところで。捏造です。


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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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