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treasure『とある鳥のさえずり』 1

頂き物、にゅ~~ふぇいす!!
オリジナルの方でお世話になっている、平隊員Tさまにいただきました(ってこの名前でよろしかったでしょうか、Tさま。なんならあとで変えます。

SSの貴公子とも呼ばれる(私が呼んでる)Tさまは、短い文字数できちっとストーリーをまとめる能力に長けていらっしゃいます。
今回も、その手腕を遺憾なく発揮な、綺麗なSSです。

アニーのアトリエに登場しないオリジナルキャラクターが登場、かつSS内でメインとなっています。そこんとこご了承下さい。
一つで出そうかどうしようか迷ったのですが、メールで送っていただいた時点で二つに分かれていたので、分けます。


平隊員Tさま、このたびは本当にありがとうございました!
またぜひ、お待ちしてますーー!!






*****






『とある鳥のさえずり』 1 BY 平隊員T


 鳥は生まれた時から自分が鳥だと知っている。それは水面に映る自身を見てそう思うのではなく、ただ、心が教えるのだろう。
 鳥は鳥であるが故に、飛ぶ事を知っている。それはまるで呼吸をするのと同じように、生まれた時から当たり前に備わった知識。飛ぶという事は、鳥であるという証のようなものなのかもしれない。
 だとしたら、飛ぶ事を止めてしまった鳥は鳥だと言えるのだろうか。
“私”が“私”であるという証を無くしてしまった“私”は、一体誰なのだろう。
 そんな答えの出ない問い掛けを延々と繰り返すうちに、窓の隙間から薄明かりが差し込み始める。
 今日も夜が明ける――。


※※※


 こんこんと、いつものように部屋の扉を叩く音が聞こえ、それに対していつも通りの返事をする。ゆっくりと扉が開けられると、顔を見せたのは使用人服の少女。
 私と同じ金色の髪、私と対照的な褐色の肌。そしてつんと尖った耳が特徴的。
 彼女の名前はアーデ。私の世話係りだ。
 アーデは私に一礼するや、はあと溜息を吐いた。
「お嬢様、また椅子に座ったまま一夜を過ごされたのですか? もう三日目ですよ。ちゃんとベッドで横にならないとそのうち本当に倒れてしまいますよ」
 そう言って彼女は部屋に入ると、少しだけ開いていたカーテンをさっと左右に全開させる。急に飛び込んだ強烈な陽の光に、私は思わず片手で目を覆った。
「アーデ、いきなりカーテンを開けたら眩しいわ」
「眩しいどころか今日の太陽も心地よい日差しですよ」
 窓の外を眺めて微笑むアーデ。そんな彼女とは対照的に、私は目を細くする。
「海岸が程近いので風がよく吹くんですよね、この街は。とても良いところですよ」
「……そう、ね」
 大陸から船で少し進んだ先にある島、セラ島。その島に唯一存在するのがこの街、リヒターゼン。現在はリゾート開発計画の真っ最中らしく、観光客で賑わっている。とは言え、大陸中央にあった大都市に比べれば静かなもの。
 半ば強制的にアーデに連行されてここへ来たとは言え、今はこれで良かったと思っている。あのまま大陸にいたら、きっと今頃は精神がぼろぼろになっていた。
「ここへ来て五日、ろくに街へ出ていませんよね。今日こそは少し散歩してみませんか?」
「結構よ。疲れるだけじゃない」
 いつもの通りアーデの提案をあっさりと蹴る。これまでなら溜息混じりに渋々退散していくわけだけど、今日は違った。腰に両手を当てて、眉を吊り上げた顔をずいっと近付けて来た。
「いいえ、行きましょう! 嫌だと言っても連れて行きますから! 縄で縛り付けてでも連れて行きますからね!」
「わ、わかったわよ。だから縄はもう止めて」
 この島に来る時にも、渋る私をアーデは縄で縛り付けられて強制連行した。彼女はこうすると言ったら本当にやってしまうからたちが悪い。
 渋々ながらもお気に入りのピンクの寝間着から、外行き用のちょっと値の張るホワイトのドレスを着込む。セラ島は年中住み易く、街を歩くには春モノが良く映えるのだとか。ただ、窓の外から行き交う人を眺めていても、皆それほど春らしい格好をしていない気がする。ここの島民には季節感はあまりないのかもしれない。
「さ、準備完了ですよ」
 アーデはにっこり微笑むと、着付けが完了した事を知らせた。
「ん。ありがと」
 ロイヤルスイートの自室から出、廊下を通り、二階エントランスのらせん階段を下ってカウンターの受付に軽く会釈。さて外へ出ようと思ったその時、ある事に気付き後ろを振り返る。
 にこにこ笑顔のアーデが私の後ろにぴったり付いて来ている。わずかに口端が引き攣った。
「アーデ。付いて来るの?」
「ええ、もちのろんです。お嬢様の身に何かあったとなれば、私のお給金に響きますので」
 アーデはすごく正直で、すごく良い子です。ただ、出来れば上手な嘘を付く事も覚えてもらいたいもの。「お嬢様が心配だから」と一言なり言ってもらえれば少しは嬉しいものを。この子は。
「確かにお給金は大事よね」
「はい。あ、もちろんお嬢様の身も大事ですよ」
「お給金の次に、かしら?」
「はい!」
 力一杯即答で、しかも胸まで張って言われたら、もう笑うしかない。きっと彼女は立派で図太い女性になる。保障出来る。
「ま、まあいいわ。とりあえず向かいましょうか」
「はい。まずは噴水公園に行ってましょう」
 アーデに案内され、私達は街の中央にある噴水公園へと向かう事にした。きっと噴水があるから噴水公園と名付けられているに違いない。



 予想通り、大きな噴水池が中央にどんと構えた公園だった。アーデの話では、この街は科学技術が発展しておらず、あの噴水は機械式のパンプで汲み上げられているわけではないらしい。だとしたらどういった原理なのだろうか。
 そんな事を考えながら公園を歩いていると、路地から人影が飛び出して来た。あまりに突然の事に驚いて、その場に尻餅を付いてしまった。
「おっと、わりい。大丈夫か?」
 そう言って紳士的に手を差し伸べて来たのは、緑のやや大きめの帽子を被り、それと同色の服を着た小さな子供だった。手には身の丈程の細長い杖を持っている。
「怪我は無いか?」
「え、ええ、大丈夫よ」
 年齢に似合わない言葉遣い。
 ペペと名乗ったその子は、用事があるからと走り去って行った。変わった子供もいるものだと、呆気に取られていると、急にアーデの顔がアップで映る。
「わっ?! お、脅かさないでよ、アーデ!」
「ぼーっとしていましたので。どうかされました?」
「どうかって……。ペペくんだったかしら。随分と変わった口調の子供よね。ここの街の子はみんなああなの?」
「いえ、あの子は妖精ですよ。この辺りでは“妖精さん”と呼ばれているそうですね。見た目は子供ですけど、あの口調に見合ったくらいの年齢だとは思いますよ」
 へえとアーデの言葉に声を漏らしつつ、ペペの走り去って行った方を再び向く。当然彼の姿はそこにはないが、そうして景色を眺めていると、ちょこちょことした後ろ姿の幻が見えるような気がして思わず頬が緩んだ。
「妖精。また会ってみたいわ」
 ふとアーデの言った事に首を傾げ、彼女を見た。相も変わらず人の良さそうな笑顔だ事。
「そう言えばあなた、なんであの子が妖精だってわかったの?」
 問い掛けにアーデは、つんと尖った耳を上下にぴこぴこと動かして見せる。
「私も種族は違えど妖精ですからね。なんとなくわかるんですよ」
「そうね、あなたも一応エルフって呼ばれる妖精族だものね」
「一応ってなんですか。がっつりと妖精ですよ。神秘的な種族なんです」
 神秘的な種族はここまでお金に執着心はないと思う。アーデだけだとは思うけど、もしエルフがみんな守銭奴だったとしたら、学会で妖精論を説いておられる方々はさぞやがっかりされるだろう。
 私のそんな思いなど知るはずもなく、お金に対して並々ならぬ愛情を注ぐ守銭奴エルフは、にこやかに耳をぴこぴこと忙しくさせている。
「さ、次に行きましょう、お嬢様」
「え? もう?」
「ええ。公園にいてもつまらないでしょうから」
 案内したのは彼女だったはず。 アーデが自己中心的な性格である事は昔から知っているけど、出来ればこちらの意見も少しは聞いて欲しい。
 彼女と一緒に行動していると、本当に私の世話係りなのかたまにわからなくなる時がある。良い意味で友達のよう。
「お嬢様、ぼーっとしてると置いて行きますよ」
「……はいはい」





────────
続きます。
『とある鳥のさえずり』2 は、コチラ

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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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