FC2ブログ

treasure 『青い空なんて大っ嫌い!』 1

頂き物SS、大作です! いつもコメント等でお世話になっている、瀬名さまからいただきました。瀬名さまには以前にも、『リーズのレポート』をいただいております。
そう、そうです、その瀬名さまです!(誰に。

なんとなんとビュウフィズです!
ビュウフィズをメインとしつつ、ハンアニもしっかり甘いです。

作家EDのさらに2年後という設定で、多少ネタばれがあります。ご了承くださいませ。
そんでもってファンには嬉しい、リズアト時代のキャラがリーズ以外にもう一人、でてきますぜ。誰かは秘密ですぜ。ヒントは「作家ED」ですぜ。げへへ。


瀬名さま、素敵なSSを、ありがとうございました!



二つに分けます。では本編へどうぞ!





*****





『青い空なんて大っ嫌い!』 1 BY 瀬名


リゾート開発期間が終了し、2年が経った。
姉として慕っていたアニーは周囲の期待や予想を大きく裏切り、司書を副業とした作家の道を歩んだ。
魔法の羽根ペンとやらの効果も作用してか、彼女の人気は衰えることを知らない。

彼女のその後として語ることは山ほどある。
まずは可愛い服が普段着になったことと、それによって女性としての人気も上がったことだ。
可愛い服ばかり着るようになったのは冒険に出る機会が減ったことと、あの帽子とマントを被る必要がなくなったことによる――ようは今までの反動だろう。
磨けば光る素材だった彼女は一気に『娘』として認められ、男たちはこぞってプレゼントを贈りだした。

この展開に一番焦ったのは――言うまでもないが念のため――ハンス・アーレンスであった。
しかしあの(ヘタレ)男はぐずぐずとしていて……
(どこの馬の骨にもってかれるかとアタシがヒヤヒヤしたわよ、まったく)
だが決断してからは早かった。
光り輝くダイヤをあしらったプラチナリングを渡したのだ。
持ち前の鈍さでスルーしかけたのを「婚約指輪のつもりだ」と念押しまでしたらしい。
一拍どころかまるまる10秒固まってから赤くなったというのは有名な話だ。
後は吹っ切れたのか、暇を見つけてはアニーのもとへ通い、愛をささやき……。
くだんの指輪ははじめはネックレスとして使われていたが、一般的な場所に――つまり左手の薬指に収まったのが10ヵ月前。ダイヤつきのリングからシンプルなデザインの指輪になったのが半年前である。


彼女のセカンドネームは、今やアーレンスだ。



(それに比べて……)
自分は何一つ変わっていないと、桃色の唇からため息をこぼした。
そりゃあ外見は変わったと思う。
背も伸びたし、年相応の顔立ち、体つきにもなったと思う。敬語だってちゃんと使えるようになった……はずだ。
リヒターゼンでかなりの美人と評判らしく(もちろん自己判断などではない、カイルからの情報だ)、会ったこともない男たちから恋文だって山ほどもらうようになった。
しかし、中身は……
(意地っ張りで、ひねくれてて――可愛くないまま……)
昔、きっと大きくなるにつれて、自然とアニーのようになるのだと疑っていなかった。
素直で、気さくで、分けへだてない……そんな女の子になれるのだと、無邪気に信じていた。
(馬鹿みたい。何の努力もしなかったら望み通りの姿になれるわけないじゃない)
あと1年もしたら出会ったころのアニーと同じ年の、17歳になってしまうのに……5年前と、変わっていない。

好きな人にも、優しくできない。

いつの間にかフィズの視線は思考と同じように下向きになっている。
あぁ、こういう気分の時に――
「会いたい、なぁ」
「誰に?」
自分にも聞こえないくらい小さな小さな声でつぶやいた言葉をしっかり聞かれていたのでぎょっとした。
しかも本人に。――そういえば彼は耳が良かった。
「ビュウ!」
「よ、フィズ」
声に振り向くと至近距離に顔があったのでいろいろな意味でドキリとし(あくまでいろいろな意味で、だ)それがパッと笑顔になったのでまた心臓がはねた。
(ハタチになったのにこんなに無防備で……可愛い、とか年上の男の人に対する言葉じゃないわよ、絶対)
「で、会いたいって、誰に?」
わざわざ覗き込んで問いかけられ、もちろん正直に――
「そっそんなのアンタに関係ないでしょっ!?」
答えられるようなフィズではなかった。
(あぁ、また。素直になれない)

落ち込んでることに気づいているのかいないのか、あっけらかんとビュウは続ける。
「関係大アリだぜ!」
「……なんでよ」
予想をつけつつ一応たずねると案の定、
「だってオレはフィズが好きなんだぜ。アニーに会いたいってんならともかく、男に会いたがっていて、それがオレじゃないヤツなんだとしたらすんげー焦る!」
予想と大差ない言葉が返ってきた。
ビュウからの「好き」という言葉はいい加減慣れたので平常心を装えた。
……わずかに変化した脈の速さは気づかれたくないところだ。
「またそんなこと言って……だいたいさ、アタシのどこがいいのよ」
甘くなりそうな空気をトゲのある言葉で霧散させようとしてみた。
でも実はずっと気になってたことでもあった。
(そうよ、アタシのどこが好きなのよ、ビュウ)
すっかり青年になったかつての少年はうーん、とちょっと考えた。
「フィズの魅力なんて、そんなの語ると長いけど……」
ビュウは嘘を言わない。少なくとも自分には、いつも本気の言葉だ。
それでも真意を探るように瞳をみつめた。

「うん、1番大きい理由は可愛いから、だな!」


曇りのない笑顔。100%の真実だろう。
だがフィズはぴたりと立ち止まった。ビュウも合わせて止まる。
「――――フィズ?」
うつむいてなかなか動かないのを不思議に思ってか、声をかけられた。
フィズはぼそりと「ビュウは」と言った。
その声が我ながらいつもより低く、剣呑な響きを持っている。
だからか、ビュウが固まった気配がした。
「……ビュウは、女の子を顔で選ぶようなヤツじゃないって信じてたから、アタシを好きっていうのも心が、とかだと思ってたんだけど……顔、なの?」
それじゃあ、噂だけでラブレターを送ってくる有象無象の男たちと一緒ではないか。
うつむいたまま肩を震わせ、ぎゅうとスカートを握りしめる。
「いや、可愛いって言うのはそうじゃなくて――!」
ビュウが慌てて言い訳をしようとするが聞いてる余裕はない。
フィズの怒りの導火線は、短い。すごく、短い。


「ビュウのバカッ! 大ッ嫌い!!」


しまったと思ったが顔を見る勇気もない。すぐそこから逃げだす。しばらくしてから追いかけてくる声がしたが、小回りのきく体の分、人や馬車の多い道ではフィズの方が速い。
大嫌いとか言ってしまった。心にもないことを言うのはいつものことだが、今日のは特大だ。どうしようどうしようどうしよう、愛想を尽かされたら。あぁ涙腺が緩みかけてきた。
そっと振り返るとビュウは見えない。うまくまけたようだ。
見失わず追いかけてほしかったという勝手な気持ちもあるが、まだ心の整理がついてないので良かった。
その事にほっと息をついてから、とぼとぼと歩く。

(可愛いから、か……)
自分の性格が可愛くないことは、自分がよく知ってる。だからあれは顔のことなのだ。
可愛い性格というのは、明るく、思いやりのある――
「フィズ?」
柔らかな声に振り向くと、黒髪に夜色の瞳の……
「アニー、お姉ちゃん……」
可愛いというのは、そう。彼女のような性格を言うのだ、と思った。


「どうしたの、フィズ。泣いてるじゃない!」
「な、泣いてないです……」
かけよってきたアニーは、そっとフィズの頬に手をあてて視線を合わせる。
「でも、泣きそうだよね」
「そんな、ことは」
言い淀むと心の姉は表情を陰らせ、手を離した。
「……あたしには、話せない?」
伏せた瞳。傷つけてしまったと思って、とっさに頬にあてられた手をつかんだ。
「ううんっアニーお姉ちゃん、聞いてください」
言うと、うんありがととアニーは笑った。






────────────
そして舞台はアーレンス家へ!
続きはコチラです。
  TOP


Menu

  はじめに
  SS
  LONG
  頂き物
  小ネタ・バトン
  拍手レス・雑記



Gust

   ガストゲームズサポーターズリンク「マナケミア・アルトネリコ2」公式サイトはこちらへ!

Rank etc

   アトリエサーチ!
   (GC)GAMEHA.COM - ゲーム派ドットコム


Profile

  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

  本家オジリナル小説サイト↓↓
  『光太朗小説処』へ


Links


→ Reset