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『ポイズン☆パニック』

瀬名さまにいただいたネタを元に、SSです。
この題名は、光太朗のおかしなテンションを表しています。久しぶりにハンアニ書けて嬉しいんです。
それにしても ☆ はないだろ!(と、ひとりつっこむ。

ここんとこコメディ書いてなかったので、なんか身体が軽くなった感じです。
書くのって、やっぱり楽しい。しみじみ。

瀬名さま、いただいたネタから逸脱しててゴメンナサイ……! む、無理でしたっ><






*****





『ポイズン☆パニック』


「──だから、ヒトゴトじゃないんだ。って、聞いているのか?」
 真剣に話しているというのに、アニーはハンスに背を向けて、せっせと水をくんでいた。ハンスは腕を組み、ため息を吐き出す。
 ぐるりと辺りを見回した。どうやら、モンスターの気配はない。
「聞いてる、聞いてるー」
 背を向けたままで、脳天気な声。
 いくら慣れた滝つぼとはいえ、この無防備さはどうしたことだろう。滝つぼだから二人だけでだいじょうぶ──そんなことをいわれてのこのこついてきたが、凶悪なモンスターが出ないという保証もない。

 それにハンスには、もう一つ、気にかかることがあった。
 同僚が担当している錬金術師が、採取の最中におかしな病をもらったらしい。どうやら植物、もしくは生物の毒の作用によるものらしい──が、それも可能性の一つにすぎない。何もかもが調査中。
 件の錬金術師は、一週間以上寝込んだそうだ。命に別状はなかったが、だれが感染しても同じとは限らない。 
「だってその話って、もう三回目だよ。わかったってば」
「……わかっているのなら、もう少し警戒してくれ。原因がはっきりするまでは、採取に来るべきじゃなかったんだ」
「ハンスはカタイなあ」
 必要な分の水はくみ終わったのか、アニーが腰を上げた。腕を組んでまっすぐに立つハンスを、下から見上げる。
「だいじょうぶだよ。ハンスが守ってくれるんでしょ?」
 ハンスは絶句した。これで狙っていないのだから始末が悪い。
「き、君は、本当に話を聞いていたのか? 原因がわからない、といっているだろう!」
「えーと、そうだっけ」
 目を逸らして頬をかく。どうやら、よくわかっていないようだ。

 ハンスは、アニーの手にするかごを見やった。まだ半分も入っていない。ついたばかりなのだから当然だが、いつものようにここで夜を過ごすことは避けたかった。
「アニー、本当に必要な材料だけ採取して、今回は帰ろう。事態が落ち着いてから、またくればいい」
「依頼受けちゃってるんだから、そういうわけにはいかないよ」
 唇をとがらせて、いつものようにアニーが返してくる。ハンスはイライラと眉を寄せた。
「君が心配だといっているんだ」
「え」
 アニーが目を丸くした。まったく他意のない言葉だったのだが、思いもよらない反応に、ハンスの頭に血がのぼる。普段どこまでも鈍いくせに、どうしてこういうところで勝手にニュアンスを拾うのか。
「い、いや、いまのは──」
「そっか、そういうふうにいわれちゃったら、しょうがないかも」
 むー、とアニーが眉間に皺を寄せた。
 これといって何のニュアンスも感じ取らなかったらしい。ハンスが一人盛り上がったテンションを、一人下げる。むなしい。

「じゃあ、いるものだけ。ちゃちゃっと採って帰るよ。あたしってば、おりこう」
 勝手なことをいって、アニーが草むらに移動していく。
 落ち着こうと首を振りながらアニーを目で追って、ハンスはまたため息をつくことになった。本日何度目なのか、数える気にもならない。
 道中、三回もいったにも関わらず、アニーは素手で採取していた。草むらに、手を突っ込んで。
「……アニー。手袋を渡しただろう。君はくどいというだろうが、もう一度いわせてもらう。植物、または生物の毒が危険なのかもしれないんだ。素手で触るようなことをしないでくれ」
「だって」
 アニーはやはり振り向かなかった。
「知ってるのばっかりだから、だいじょうぶだよ。それに微妙な質の良し悪しとかさ、やっぱり直に触らないとわかんないし」

 ハンスは頭を抱えた。その錬金術師魂はあるいは賞賛に値するのかもしれないが、それで病をもらったのでは話にならない。
「頼むから、せめて手袋を──」
「あれー、見たことない花がある」
 明るい声に、ハンスははっとした。
 未知の植物──そういうものが、もっとも危険なのだ。これだってもう何度もアニーにいっていることだというのに。
「アニー、それは……」
「痛ッ」
 鋭い悲鳴。
 ハンスは慌ててアニーに駆け寄り、目に映った光景に頭を殴りつけられるような衝撃を覚えた。アニーの指先に、小さな傷跡。数秒遅れて、鮮血がにじみ出る。

 ハンスはとっさに、アニーの手を掴んだ。
 何も考えられなかった。ただ、このままでは危険だという思いのままに、アニーの指を口に含んだ。
 血を吸い上げる。苦い血の味が口内に広がったところで、地面に吐き出した。もう一度、今度は幾分丁寧に吸い出そうと、舌を這わせ──
 ──アニーが、真っ赤な顔をしていることに気づいた。
 ぷるぷると、震えている。
「は、は、ハンス……──」
 そこでやっと、ハンスは自分が何をしているのか気づいた。
 もちろん、他意はない。
 他意はない、が。
「ハンスが舐めた──! 食べられるぅっ!」
「そ、そういういいかたはやめてくれないか!」
 脱兎のごとく、アニーは逃げ出した。ハンスが慌てて後を追う。どこまでも逃げそうだったので、急いで戻ってかごを肩にかけた。それから、猛ダッシュ。
 
「あの場合は仕方がないだろう! もし毒を持っていたら──」
「持ってないよ、見たことないだけで図鑑には載ってるもん! あたし、そんなバカじゃないよー!」
 リヒターゼンまでの道中、走りながらの口論が、平和なセラ島に響いた。




 ハンスに舐められたんだよ、食べられるかと思ったよ──涙ながらに雑貨屋に駆け込んだアニーは、真っ先にリーズに泣きついた。
 弁解しようとするハンスに目を向けて、リーズは一言、ごく冷静に、
「もう食べちゃえば?」

 いっそそうしてしまいたいと、ハンスは肩を落とした。 






────────────
そういえば、アニー(リーズもですが)はかごがいっぱいにならないのが嬉しいです。
そして書きながら気づいたのですが、水ってどうやって持って帰っているのでしょう……容器に入れて? 重ッ。
いっそ食べてしまうハンス君は私には書けません。いや書けるけど書けません。


  
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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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