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『特注バースデー』

DSアトリエwebアンソロ参加作、そのいち。
『リーズのアトリエ』エイ→リズです。

大人リーズじゃないリーズは初めて。このためにリズアトプレイし直したわけですが、そういう事実はこれといって反映されていないという(コラ。

リズアトは、実はどのCPも好きだったりします。リーズが愛されればいいと思う。




******




『特注バースデー』


 2月6日。
 目前に迫るのは、リーズの誕生日。
 エイリーは悩んでいた。女の子のプレゼントになにを渡せばいいのかわからない、というのとは少し違う。あのリーズになにを渡せばいいのか──なにを贈るのがもっとも効果的なのか。ここのところ、そればかりを考えていた。
 リーズは十七歳になる。立派な乙女だ。となると、指輪やネックレス……そういったものをプレゼントしたい。ぜひ。
 だが、これには問題があった。
「売られたんじゃ、意味がないからな……」
 思わず、声が漏れる。
 きっと何を渡してもある程度は喜んでくれるだろう。しかし、その後無人販売所にモノが並んだのではあまりにも切ない。
 彼女が欲しているのは現金だ。それはわかっている。とはいえ、現金をプレゼントされたがっているわけではない。彼女は自ら日々奮闘し、懸命に稼いでいるのだから。
 それならば、渡したプレゼントが金に換わり、結果的に彼女の助けになるのはそれはそれでありかと……──考えかけて、慌てて首を振った。自暴自棄になるところだった、とため息を一つ。
「ふむ……これは、調査が必要だな」
 エイリーはニヤリと笑い、愛しい想い人のアトリエへ向かった。


 
「なにか、困っていることはないか?」
 アトリエを訪れ、開口一番、そう問いかけてみた。いったい何しにきたのか、という顔をしていたリーズが、さらに面倒くさそうに眉値を寄せる。
「どうしたの、エイリー。用件って、それ?」
「まあまあ、年上のオレになんでも話してみろよ。相談に乗るぜ」
 リーズは考えるそぶりを見せ、それからほとんど即答する。
「……お金?」
「いや、そうなんだがそうじゃないんだ。もっとこう……なんていうか……あるだろう、何かがナイとか足りナイとか、あれが欲しいこれが欲しい、とか」
「はあ?」
 リーズは眉間にしわを寄せた。それから、アトリエ内を見渡す。
「特にないけどなあ……あ、そういえば最近、ちょっと雨漏りするかな。あとドアの立て付けも悪いかも」
「なにっ! それはよくないな。よし、すぐにでも知り合いの業者にいって修繕させよう。……いやいや、そうじゃなくて」
「ホントにどうしたの。いつも変だけどもっと変だよ、エイリー?」
 リーズの顔が、不審度を増す。エイリーは冷や汗を流した。このままでは、リサーチするどころではない。

 言葉に詰まっていると、助け船のように、ドアがノックされた。
「リーズ、いる? ちょっといいかしら」
「はいはーい、どうぞ」
 入ってきたのは、派手な衣装に身を包んだ美少女だった。リーズの友人、ロロット嬢だ。
 彼女はアトリエに入るなり、エイリーの姿を確認すると、目を見開いた。
「エイリーさん!? ど、どうしたんですか、こんなところで?」
 こんなところ、とはご挨拶だ。エイリーは苦笑しながら、肩をすくめる。
「なに、ちょっとリーズに用があってね」
「そうですか……──ちょっとリーズ! あなたねっ、エイリーさんにお茶も出さないで立たせたままで、どういうつもり!?」
「えー、だってお茶っ葉がもったいな……」
「いいから! さっさと用意する!」
 ロロットにせき立てられ、リーズがしぶしぶカップを用意する。茶などどうでもよかったのだが、振る舞ってもらえるというのならば嬉しいことだった。エイリーは素直に椅子に座り、用意されるのを待つことにする。
 運ばれていたティーセットに、眉をひそめた。
 これは。
「お客様用にお茶菓子ぐらいあるんでしょ?」
「ナイナイ、そんなのナイよ」
「とぼけないの!」
 少女たちがなにやらもめている。その間に、エイリーはしげしげとティーセットを見つめた。
「だいたい、このお茶のビン、なんでわざわざリーズって名前書いてあるの? 恥ずかしいわね!」
「う、それは、間違えて売っちゃわないように……と、ところで、ロロットは今日はどうしたの? なにか依頼?」
 結局、クッキーらしきものが運ばれてくる。きっと手作りなのだろう。エイリーのテンションが上がるが、しかし思考は集中していた。いまの彼女たちの会話、そして目の前のものに、ヒントがある気がした。なにをプレゼントすればいいのか、その答えが明確になろうとしている。
「たいした用じゃないわ。ただ、もうすぐリーズの誕生日でしょう? 何が欲しいか、聞こうと思って」
「欲しいもの?」
 リーズの声が、一段階高くなった。
 エイリーはドキリとする。まさかそんな、単刀直入にいくとは。さすが女友達。
「あ、もしかして、エイリー……」
 そして矛先が自分に向かってきて、エイリーは思わず立ち上がった。
「わ、悪いが用事を思い出した。また来るぜ、じゃあな!」
 ポーズをとって、逃げるようにアトリエをあとにする。ズバリ欲しいモノを聞くのは、エイリーのポリシーに反するのだ。
 それに、もう何にするかは決まっていた。結局口をつけられなかった茶と菓子への未練は大きかったが、それでも収穫は充分だろう。
 なにを贈ればいいのかも、売り飛ばされない対策も、完璧だ。
「待ってろよ、子猫ちゃん……! 必ず、愛しのキミのハートをゲットしてやるぜ……!」
 人目もはばからず、エイリーの自信たっぷりの高笑いが響きわたった。



   *



 誕生日当日。
 リーズは思いもよらないプレゼントの数々に、幸せにひたっていた。
 本や手作りの模型、ステッキに錬金術の材料、手作りケーキやキモカワグッズ等々……どれもこれもが嬉しくてたまらない。
「誕生日って、いいなあ」
 思わず、満面の笑みが漏れる。ちょっと早いけど、といって、前日までにもらったものも多かったが、すべてを一カ所に並べてみた。
 顔がにやけてしまう。
 いままでも、誕生日というのは素晴らしいものだった。もちろん去年だって、祝ってもらって嬉しかったけれど。
 これほどたくさんの、心のこもった贈り物をもらったのは、初めてのことだ。
「リーズ、ちょっといいかい」
 不意にドアがノックされ、同時に開けられる。顔を出したのはエイリーで、リーズはいままでにないぐらい穏やかな気持ちで彼を迎え入れた。
「いらっしゃい、エイリー。どうしたの?」
 自分が幸せだと、まわりにもそれを振る舞いたくなるらしい。かろやかな足取りで、茶の準備に取りかかる。
「いまお茶用意するからね」
「ど、どうしたんだ、リーズ」
 当のエイリーは、なにかを恐れるかのように驚愕している。リーズはため息を吐き出した。
「ちょっと機嫌がいいの。そんな反応されると、さすがに機嫌悪くなりそうだけどね」
「あ、いや……そのままでいてくれ、ぜひ」
 エイリーはゴホンと咳払いをして、それから勢いをつけると、背後に隠していた花束をずいとリーズに差し出した。赤を基調とした、これでもかと派手な花束だ。
「ハッピーバースデー、リーズ」
 歯すら光らせて、ポーズをつける。
 リーズは思わず一歩下がった。目を逸らしつつ、受け取る。
「……ありがとう」
 ちょっとジャマだな、とか思わないでもなかったが、そこはいわないでおいた。嬉しいという気持ちももちろんあるが、そんなことよりもっとふつうに渡せないものかという疑問。いまさらいっても無駄だろうが。
「そのために、わざわざ来てくれたの?」
「もちろん、愛しのリーズの誕生日に、会いに来ないわけがないだろう? プレゼントは、もう一つあるんだ」
 エイリーは笑って、ペーパーバッグから箱を取り出した。アクセサリーが入っているにしては大きい、洋服だとすれば小さいサイズの箱だ。受け取ると、ずしりと重い。
「わ、ありがとう! 開けていい?」
 素直に笑顔になった。問うと、エイリーは面食らったような顔をして、それから慌てて首を振る。
「いや、オレが帰ってからにしてくれ。……とりあえずいまは、一度これで失礼するよ。よければ今夜、食事でも──」
「あ、ゴメン。ロロットたちと約束が……エイリーも来る?」
「ぜひ、ご一緒したいね」
 そういって、エイリーは本当に帰っていった。あまりにもあっさりとした態度に、リーズは首を傾げる。らしくない。
 もしかして、びっくり箱か何かなのだろうか。いや、それではただの嫌がらせだが。
「開けてみようかな」
 若干の不安はあったものの、リーズは渡された箱のリボンを、そっと解く。
「……んん?」
「ちょっと、リーズ!」
 ばん、と勢いよくアトリエのドアが開け放たれ、ロロットが駆け込んできた。
「いまエイリーさんに会ったわよ! なにかもらったんでしょう! なにもらったの!?」
 ものすごい剣幕だ。リーズは苦笑する。
「うん、いま、お茶入れるよ」
「そうじゃないわよ! ナニをもらったのかって……」
「だから、これ」
 リーズは、箱の中身を取り出すと、テーブルに並べた。
 色とりどりの、それでいて上品なティーポットと、カップアンドソーサー。買えば高そうな装飾が施されている。
 しかし、問題はそこではなかった。
 一つ一つに印字された、金色の文字。

『愛しのリーズへ。──世界のエイリーより』

「これって……ぜんぶにこの文字? すごくイイモノ、なのに……わざわざ特注で、この文字入れ?」
「いま使ってるの、欠けたりしてたから助かるけどね」
「それにしても……」
 ロロットは、茶器から目を離せないようだった。
 逡巡するかのような沈黙を挟み、息を吸い込んで一言、
「ダサい」
 実に力強く、つぶやいた。



 その後、リヒターゼンの町には、「あのエイリーは実はダサい」という噂が流れることになるが、当のエイリーはまったく気にしなかった。
 それよりも、無事売られなかった茶器に満足し、頻繁にアトリエを訪れては、茶を要求したという── 








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私のリズアトに対する愛はたっぷりなハズなのですが、エイリーも大好きなのですが、バカな子ほどかわいいみたいな残念な展開になってしまいました。
ごめんねエイリー……。


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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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