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treasure『Tea Time Talk』

平隊員Tさまにいただきました。
タイトルは「些細なおしゃべり」といったニュアンスだそうです。

なんとコルト君のお話です!
コルト君についてはLONGの『MISSING』参照でございます><





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『Tea Time Talk』BY平隊員T



 それはとある日の事。
 私、リーズの担当官が急用により一週間ほど本土に戻る事になってしまった。
 もっとも、担当官が居ても居なくても錬金術には支障は出ないし、課題はそのまま委員会本部に持ち込めばいいわけでこれと言って不都合はないわけである。が、しかし、本部側としてはセラ島全土のリゾート計画という大きな仕事を請け負っている以上いい加減は許されず、更に担当官の存在は単に依頼を与えるだけのものではなく、錬金術士の不正行為を防止するための抑止力でもあるため……なんたらかんたら……。
 要するに、たった一週間であっても担当官不在という自体はあってはならない事、なのだそうな。
 そんなわけで本日、代わりの担当官が私のアトリエに挨拶に来る事になっている。誰が来るのかは当日、つまり今日になってみないとわからない。とはいえ、誰が来たところで私達錬金術士がする事と言えば、委員会から与えられた課題をこなすのみ。

 そんな事をなんとなあく考えながら錬金釜をかき混ぜていると、コンコンとノックされた。
「はいはい、どうぞー」
 扉を開けて入って来たのはまさかのハンスくん。
 ハンスくんはアニーの担当官。基本的に担当官は一人以上を見る事はない。とすると、また喧嘩でもして「担当官を代えてもらう!」とか、言っちゃったのだろうか。
「おはようございます。リーズさんの担当官が急用で本土に帰られたので、一時代行の担当官を連れて来ました」
 ハンスくんは単に案内役として来たようだ。
 彼の後ろから顔を出したのは、黒髪の少年。見覚えのある顔。コルトくんだ。
 三日程前、四日前だっけかな? ハンスくんの記憶喪失事件があり、その原因であり、ある意味被害者でもあるコルト・ルーベル。確か近々本土に帰るって話だったはずだけど、今回の事で延期したのだろう。
「ええ、と。その節はどうもお騒がせしました。短い間ですけど、よろしくお願いします」
「うん。よろしくー」
 ハンスくんは立会いの仕事を済ませると、さっさとアトリエを出て行ってしまった。素っ気無いというかなんというか。
 さてどうしたものか、と少し困ったように視線を泳がせるコルトくんを見て、錬金釜をかき混ぜる手を一時止めた。
「ねえ、コルトくん。ちょっとお話ししない?」
「え、でも、お仕事中ですよね」
「ああ、うん。大丈夫。委員会の課題はもう提出してて、これは……趣味の……まあ、アレだから」
 ハンスくんを体調不良に追い遣った原因の一つである薬の、その試作品を再び調合中とは到底言えようはずもない。
 でも、あの薬で体調不良になったのはハンスくんが一度に大量摂取したからであって、この薬が絶対的な原因とは言えないはず。……たぶん。……じ、自信は無い……事もない、けど。
 薬はともかく、コルトくんをテーブル席に案内し、今朝方淹れた紅茶をティーカップに注ぐ。冷め切った紅茶をトレイに乗せてテーブルに運ぶと、コルトくんの向かいに腰掛けた。
「今朝淹れたのだからね、冷め切ってるけど」
「そ、そうですか」
 コルトくんは遠慮がちにカップを取ると、一口飲む。なぜか苦笑い。
 私も一口。
 ……冷めた紅茶は、お世辞にもおいしいとは言えない。
「と、ところで、あれからどう? アニーとは」
「え? アニーさんと? いえ、別に……なにもないですよ」
 そういって冷めた紅茶を飲むコルトくんの態度は、どこか違和感を感じる。
 私の視線に気付いたのか、コルトくんは咳払いをするとティーカップを置いた。
「リーズさんはなにか勘違いされているようですが、僕は別にアニーさんに特別な感情を抱いてはいません。あの時も言いましたが、あくまで先輩の背中を押すための演技というか、そういったものです」
「ほんとに?」
「ええ」
「嘘付いてない?」
「付いてません」
 私の勘は当たる方だけど、今回は本当に外したみたいだ。どうやらコルトくんはアニーに特別な、いわゆる恋愛感情的なものを抱いてはいないらしい。
 それにしても、さっきの妙な違和感が気になる。隠し事をする子供のような、そんな気まずさを感じるあの態度。恋愛感情的なものではなくとも、アニーに対してなにかしらの特別視をしているのは間違いないはず。
 さて、それをどう聞き出そうか。
「アニーにそういった感情を抱いてないってのは、まあ理解するわ。にしては、随分と彼女を気にしてる風な目で見てたわよね」
「あー……いえ、その……。そうですね。アニーさんを見てると、本土に居る――」
「本土に居る?」
 まさか、恋人?!
 これはこれで大変面白い展開だ。
「妹の事を思い出して」
 ……妹思いの優しいお兄さんだったようだ。ちょっと残念。
「へえ、妹さん。アニーに似てるの?」
「そうですね。元気なところが良く似てます。あと、ワ、ワガママなところ、とか」
 なぜか小声でそういうコルトくん。
 確かにここでこうしてつぶやいても、突然扉を開けて「誰がワガママよ!」とか言って怒鳴り込んで来そうな気はする。普通に考えて有り得ないけど、アニーならありそう。
「アニーの場合はワガママっていうか、単にやる気が薄いんだけどね。やる気が上がらないとすぐにグダってなっちゃうのが、他の人から見てワガママに見えるのかもねえ」
 コルトくんは上着の内ポケットから手帳を取り出すと、そこに挟んであった一枚の写真を取り出し、私に差し出した。
 そこに映っているのはコルトくんと、彼と同じ綺麗な黒い髪の笑顔が眩しい少女。確かに顔立ちはアニーに良く似ているが、髪はずっと長い。腰辺りまであるだろうか。
「確かに似てる。髪短くして、へんてこな帽子を被せたら見分けつかないかもね」
「ですね」
 それにしても、コルトくんはなぜこの写真を手帳に挟んで持っているのか。
 家族写真を大事にするのは当然だけど、だからと言って肌身離さずってのは聞いた事はあまりない。例えば、親が子供の写真を持っている、とかならなんとなくは理解出来るけど。
 写真をコルトくんに返すと、それを手帳に戻し、上着の内ポケットへと大事そうにしまい込んだ。
「随分大事にしてるみたいだけど、いつも持ち歩いてるの?」
「役員手帳に挟んでますから、割といつも持ち歩いてる事になりますね」
「ちょっと珍しいかなあ、なんて、思ったんだけど」
「ああ、それは良く言われますね」
 良く言われるって事は、色んな人に妹さんの写真を見せたりしてるって事だろうか。
 うん。ますます気になる。けど、あまり立ち入るのはどうだろう。
「妹が十五になった頃、流行り病に掛かりまして」
 聞こうかどうしようかと考えていると、コルトくんはそう話し始めた。
「その当時、僕の暮らしてた地方ではまだ錬金術が浸透していなくて、病気は当然医学頼みだったんです。とは言ってもその医学もあまり当てにならないようなシロモノだったんです。風邪は寝て直す、切り傷擦り傷は薬草の汁を塗る、それ以外の病気は様子を見るか神頼み。先生が神頼みですよ? とても考えられませんよね」
 そういって苦笑するコルトくん。でも私は、愛想笑いで返す事はとても出来なかった。
 病に苦しむ妹を見て、それに対して神頼みしか出来ない自分の非力さ、不条理さに、当時の彼はきっと歯噛みしていたんだろう。そう考えると。
「写真を見せてもらった限りだと、今は元気にしてるって事よね」
「妹が病に掛かって一ヶ月後くらいだったと思いますけど、ザールブルグから来たっていう錬金術士の方が薬を調合してくれて、そのお陰で」
 アニー似の妹さんにそんな事があったとは。
 なるほど。
 アニーとハンスくんの恋愛模様を陰ながら応援しようとしてる背景には、妹さんに似てるって事も関係してたわけか。
 妙に勘ぐってしまった自分がなんとも恥ずかしい。
 その時、振り子時計が重たい音を二度鳴らした。気が付けばもう二時だ。
「あ、お昼過ぎてるよ」
「ほんとですね」
 私とコルトくんは、遅いランチメニューを何にしようと考えながら、レストランへ向かう事にした。
 もちろんコルトくんのおごり。なんていうのは、冗談だけど。






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こんなコルト君もあり? というパラレルでした。
優しいお兄ちゃん。兄、というのはジョブ(?)的にはポイント高し!!

平Tさま、ありがとうございました!

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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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