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MISSING 6

長いから切ったというだけの、前回のモロ続きです。





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『MISSING』 6



 顎に手をあてて、コルトはじっと黙っていた。アニーたちの邪推など意に介していないようで、真剣な顔で考え込んでいる。
 やがて、アニーを見つめると、いいにくそうに口を開いた。
「最近、先輩から手紙を受け取った、ということは……」
「手紙? ないよ」
 アニーが即答する。
「ですよね」
 ため息を吐き出して、コルトは天井をあおいだ。ばつの悪そうな顔で、頭に手をやる。
 どうにも、話が見えない。アニーは首をかしげた。
「どういうこと?」
「いえ、その……ええと……どうしようかな」
 明らかに、何かを隠している返答だ。言葉を探すように目を泳がせる。
 アニーは眉根を寄せた。手紙とはなんなのだろう──ハンスがコルトのことも忘れているのだとして、それについての心当たりがしっかりあるという顔だ。
 問いつめようと、口を開く。しかし、まさに声が出る瞬間に、アトリエのドアがノックされた。
「どうぞ!」
 なかば投げやりに大声を出す。ほとんど全員大集合だというのに、このうえだれがやって来たというのか。
 しかし、返事がない。アニーはいらだちながら、憤然とドアを開けた。
「どうぞ、ってば!」
「し、失礼する」
 向こう側にいたのは、想像以上に青白い顔をしたハンスだった。アニーは目を見開く。口にしようとしていたもろもろがどこかにいってしまうほどの威力だ。
「ヒドイ……!」
 これほど悪い顔色を見たことがない、というほどだ。数日会わない間に、痩せてしまったような気もする。
「ヒドイ、とはなんだ。これでも、どうにかして記憶を戻そうと……」
「だからってぜんぶ一度に飲むなんて、自殺行為だよ!」
 う、とハンスは黙った。やはりそこは自覚があるらしい。
「おー、ハンス、良く出てきたなー。いまにも倒れそうじゃねえか」
「ゆっくりしていれば良かったのに。なんで来たんだい?」
 そもそもハンスを呼びに行ったはずのキルベルトとカイルが、のんきに声をあげる。ハンスは、ごほん、と咳払いをした。
「担当の変更は必要ないといいに来たんだ。君の担当はいままで僕だったんだろう。ならば、引き続き僕がやればいい」
「いーよー。コルトと仲良くやってるから。ハンスは休んでなよ」
 嫌味でも何でもなく、アニーが丁重にお断りする。むしろ善意だ。しかし、ハンスの眉がかすかにつり上がった。
「いや、こういうのは責任の問題だ。僕がやることに問題はないのだから、僕がやる」
「出た、『問題ない』」
 アニーが唇を尖らせる。問題ない、というフレーズは、できればもう聞きたくなかったのだ。
 ハンスは慌てて首を振った。
「あ、いや、いまのは……その、君のことを忘れてしまったことは、もうしわけないと思っているし……」
「もうしわけないってなに? あたしはコルトがいいの。ハンスはゆっくり寝ててってば」
 きっぱりと告げて、アニーはコルトの腕をつかんだ。
「ねえ、コルト?」
「え」
 急に話を振られて、コルトは硬直する。急いでアニーの手をふりほどくと、両手を挙げて制止した。
「ち、ちがうんです、先輩。僕は……」
「? ハンス、なんで怒ってんの?」
 ハンスの表情が怒りを帯びていた。目が据わり、まるでハンスではないかのようだ。
「はじめまして、ハンス・アーレンスです」
 その表情のまま、右手を差し出す。コルトはためらう素振りを見せつつも、手を握った。
「うう、あの……」
「行き違いがあったようです。本部には僕からいっておくので、あなたはもう戻ってください。彼女の担当は、引き続き、僕がやりますので」
 有無をいわせない、ぴしりとした口調だ。コルトは怯えるようにしながらも、首を左右に振った。
「いえ、でも、そういうわけには。先輩、まだ本調子ではないでしょう? だいじょうぶです、僕は別に……」
「それなら、担当を戻してもらえるように、いまから本部に掛け合ってきます。ここで待っていてください。いいですね?」
 そういって、じっとコルトを見る。その目が、さらに細められた。
「──はっ、いや、だから!」
 コルトは慌ててアニーから距離を取る。ハンスはすっと視線をはずすと、アトリエから出て行った。本部へと向かったのだろう。
「……いまのは、なに?」
 残されたのは、奇妙な空気だ。アニーがコルトに近づこうとすると、コルトは大げさに離れていった。
「ちょ、ちょっと待って」
 何を待てというのか。釈然としないながらも、アニーはリーズたちのいるテーブルについた。なんだか疲れてしまったのだ。ぐったりと背もたれに体重を預ける。
「ハンス、なんか怒ってたよね? なんだろう、記憶がなくなって人格まで変わっちゃったかな」
「うーん、というより……」
 リーズが、困ったように苦笑する。ねえ、とジェリアとアイコンタクトをした。なぜかフィズは怒っている。
「……何か、知ってるみたいだけど?」
 リーズがうながすと、コルトは頬を掻いた。首を右に傾け、左に傾け、意を決したようにひとつうなずく。
「協力を、お願いできますか。先輩の記憶が戻るかもしれない」
 その場にいる全員が、身を乗り出した。






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やっとラストに向かって動き出す、という感じで。
あと2、3話かなあと(また言ってる。

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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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