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MISSING 4

続きですー!
ついに明かされるラブレターの謎!(これといって引っ張るつもりはなかったんですが;






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『MISSING』 4



 ここにある薬を用意するために、アニーってばほとんど寝てないの。あのアニーがよ? そんなこといっても、わからないんだろうけど──

 そう言い残してリーズも部屋を去り、ひとり残されたハンスは、呆然と立ちつくしていた。
 表現しがたい、恐ろしいほどの衝撃が、のしかかってきていた。
 アニーの涙を見た、その瞬間の感情は、とても言葉にできない。
 心臓を握りつぶされたようだった。
 彼女のことを覚えていないのは確かなのに、彼女のことを考えると胸がかき乱されるのも、現実だ。
 忘れてしまったからなのだろう──そう、思っていたのだが。
「ああ……」
 よろよろと、座り込む。
 謝るべきだ。謝りたい、とも思う。
 だが、どんな顔をして、なにをいえばいいというのだろう。
 まだ、彼女のことを思い出せずにいるというのに。
 ハンスの中に渦巻く感情は、彼の記憶の中にはない類のものだった。だからこそ、対処のしようがない。
 カイルやジェリアが口をそろえた、「よりによって」という言葉が蘇る。あれから考えに考えて、もしかしたら自分とアニーとが特別な関係なのだろうかという可能性にもいきあたったのだが、なぜかそれは違うと断言できた。
 そして、見つけてしまった、手紙。
「これのことだって、解決していないのに」
 つぶやいて、手に取る。読むだけで赤面してしまいそうになる文面を、目で追った。
 封のされていない手紙。つづられた愛の言葉の最後に、コルト・ルーベルより、と差出人の名。
 ハンスの知らない名だった。これがここにある理由が、わからない。
「なぜ僕は、こんなものを持っているんだ」
 偶然、見つけたのだろうか。または、ハンスからアニーに渡すように頼まれたのだろうか──差出人のことを知らないのだから、それもおかしな話だ。アニーから預かったという可能性もなくはないが、それこそ意味がわからない。
 どんな状況にしろ、この手紙を、差出人に返すでもアニーに渡すでもなく、ハンスが持っているというのが、不可解だった。手紙のことを考えると、頭痛は増す一方だ。
「…………」
 ハンスは、頭を抱えた。
 このまま、ここでじっとしていていいはずがない。
 アニーとリーズが持ち込んだ、薬の山に視線を移す。大きく深呼吸をして、手を伸ばした。



   *



「グレる! グレてやる! 引きこもってやるー!」
 アニーは手当たり次第に菓子類をガツガツと食べまくり、パインジュースを一気にあおると、力任せにグラスを置いた。テーブルの上に転がった機材が、驚いたように跳ね上がる。
「覚えていなくても、問題ありません、だって! そんないい方しなくたっていいのに!」
 怒りのままに吐き捨てて、チョコラットを口に放り込む。勢いよく飲み下し、それから、急にむなしくなった。
 肩を落とす。
 記憶がないとはいえ、ハンスの口から出たセリフが、どうしようもなく悲しかった。
 セラ島にやって来てからの日々は、アニーにとってはとても大切なものだ。色々な人とふれ合い、色々な体験をして、失敗や困ったことも多いけれど、嬉しいことや楽しいことはそれ以上で。ハンスとの思い出だって、もちろん例外ではないというのに。
 気を許すと、また涙が出てきそうだった。ひどくやるせない気分だ。
 気を遣わせてしまっては悪いと、リーズには帰ってもらったのだが、失敗だったかもしれない。泣き言をいって甘えたい。
 ペペにいっても呆れられるだけだろう。記憶がないんだからしょうがねーだろ──あの師匠のいいそうなことなら容易に想像できるのだ。
「あーあ」
 自分にできることなら、やった。これ以上、何をどうすればいいのかわからない。
 もしかしたらこのまま、ハンスは自分のことを忘れたままなのかもしれない。本人が思い出さなくてもいいと思っているのだから。
「なんかそれって……すごくやだなあ」
 理由はわからないけれど。胸のなかでうずくまる、この感情はなんなのだろう。
 ぼんやりと、アトリエのドアを見つめた。
 あそこからハンスが来ることも、説教されることもため息をつかれることも──滅多にないことだが、良くやったなと褒められることも、もうないのだろうか。
 コンコンと、ちょうどそのタイミングでドアがノックされ、アニーは耳を疑った。
「あれ?」
 間の抜けた声が出る。幻聴だろうか。
 しかし、再びノック音が続き、慌てて立ち上がった。
「ど、どうぞ!」
 緊張しつつ、返事をする。この他人行儀なノックは、リーズやカイルやジェリアや、その他大勢のものではないだろう。とすれば、ハンスだろうか。どういった用件だろう。謝りに来たところで許してやるつもりはないが、それなら開けてやらないこともない。もしかしたら、記憶が戻ったのかもしれない。
 様々な可能性が脳をかけめぐり、どういうわけか、鼓動が早まる。
「こんにちは」
 しかし、扉の向こう側から現れたのは、見知らぬ青年だった。委員会の制服に身を包んでいる。
 アニーはひどく落胆し、それからある予感に眉をひそめた。
 このタイミングで、このアトリエを訪れる、委員会の人間。用件など、いわれなくともわかったような気がした。
「はじめまして。今日からあなたの担当を勤めます、コルト・ルーベルです」
 黒髪の青年は、そういって爽やかに微笑んだ。






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最初から出す予定だったんですが、脇役であってもオリキャラが出てるなんてイヤという方はご注意くださいって始めに書くべきだったような気もする……。ええとご注意ください!(今更!
でもそれ最初に書いてたらネタバレだよねっ。難しい。

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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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