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MISSING 2

書きためた分があったので、連日更新。
これ以降は白紙状態なので、更新ペースは私にいかに時間があるかによります(タナボタ的に時々時間がとれるのです。
やっぱり書くのって楽しいなあと幸せ堪能中!><





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『MISSING』 2



 一時的な記憶障害、というものらしい。
 ハンスは自室の天井を見上げ、大きくため息を吐き出した。
 おそらくは数日で思い出すはずだといわれたものの、簡単に安心できるものではなかった。自分が忘れてしまった、アニーという名の少女が、自らの担当する大会参加錬金術師となれば、なおさらだ。
 ケガを負う瞬間に、強くイメージしていた存在──アニーをかばったのだから、この場合はアニーということになる──に対する記憶に、障害が起きたということらしい。皮肉なものだ。
 外傷は軽く、記憶障害についてもアニーに関することだけなので、まったく仕事にならないということはなかったが、数日は休みをとるよう命じられてしまった。することもなく自室にこもるものの、気が滅入る一方だ。いっそ仕事に忙殺されていたい。

「ハンス、いるかい?」
 ドアがノックされ、返事をするよりも早く、カイルとキルベルト、ジェリアが入ってきた。
 カイルが花束を抱えている。まさか見舞いなのだろうかと、ハンスは身構える。
「わざわざ、花束を?」
「え? あ、これ? いやいや、これは街で出会った気になるハニーのために買ったものであって、見合いの品ではないよ。欲しいならあげるけどね!」
「…………」
 いっそ安心した。納得のいかない部分もあるものの。
「見舞いの品は、これさ! 名付けて、『強烈な電気ショックで記憶も復活』くん!」
 じゃじゃーん、と効果音つきで出されたそれは、柄の先に鉄製の球体がくくりつけられた鈍器だった。電気ショックもなにも、どう見ても物理攻撃用だ。
「ややー、こういうのは、やっぱり身体の中から治していったほうがいいよー」
 まったくしょうがないなあ、という様子で、ジェリアが身を乗り出す。
「ってなわけで、特製薬草ジュース、対ハンス君ブレンド!」
「……二人とも、気持ちだけありがたくもらっておこう」
 帰れという代わりに、大人の対応。空気を読まず、今度はキルベルトが胸を張った。
「オレからはあれだ、同じ状況を再現すれば記憶も戻るんじゃねぇかと頭脳派的に考えてだな、あのときと同じようにハンスをスパコーンッとやっちまおうと──」
「待て! 大剣を構えるのはやめてくれ! 三人とも、本当に見舞いのつもりか?」
 真剣に問うと、三人は顔を見合わせた。不思議そうに見つめ合い、ハンスに視線を戻す。見舞いでなければなんなのか、とでもいいたそうだ。
「…………よくわかった。心から礼をいおう。とりあえず帰ってくれ」
 三人が不平を漏らすが、ハンスは聞こえないふりを決め込む。ただでさえ大変な状況なのに、これでは落ち着いてものを考えることもできない。
「みんなハンスくんのこと心配してるんだよー。記憶ないと困るでしょ。よりによってアニーのこと忘れちゃうなんてさあ」
 まったく帰るそぶりを見せず、ジェリアがため息をついた。カイルがそれに乗じる。
「そうそう、ほかの誰かならともかく、よりによってアニーだからね。ハンス、つらいならオニーサンの胸で泣いていいんだよ」
「……?」
 二人の態度に、ハンスが眉根を寄せる。
「よりによって、というのは?」
「なんで『よりによって』なんだ?」
 どうやらキルベルトもわかっていなかったらしい。ジェリアとカイルが目を丸くして、それからなんともいえない表情をする。
「キルくんはほっとくとしてー……そっか、忘れてるんだもんねえ」
「ツライもなにもなかったか。残念、これじゃ面白みに欠ける……じゃない、ええと、そうだ、僕らを見ていて、なにか足りないなあとか、感じないかい?」
 ハンスは考えた。カイルとジェリアとキルベルトを、じっと観察する。彼らに足りないもの。
「……常識?」
「ほほう、ケンカを売っているね」
 カイルの目が光る。それはそれで正解の自信があったが、さすがに、彼らが何をいいたいのか、ハンスにもわかっていた。
 アニーという名の少女のことをいっているのだろう。彼女についてなにか思い出さないかと、要するにそういいたいのだ。
「まだ、思い出せそうにない」
 正直に、答える。カイルは肩をすくめた。
「まあ、こういうのは日にち薬ってね。僕らにできることがあれば協力は惜しまないよってことだけ、覚えといてよ」
 どうやら本当に、見舞いのつもりだったらしい。三人はおとなしく、部屋から出て行った。

 嵐が過ぎ去った気分だ。頭痛のようなものを感じはするが、それほど心地悪いものでもない。この感覚の中に、自分はずっといたのだ。
 ただ、たしかに、なにかが足りない。
 本当なら、アニーという少女も一緒に来たはずなのだろうか。
「よりによって、といわれてもな」
 カイルとジェリアの言葉が、蘇る。
 このまま部屋にいても、陰鬱な気持ちになるだけだという気がした。外へ出ようかと、立ち上がる。
 ふと視線を落とした先に、白い封筒を見つけ、ハンスは眉をひそめた。
 それは、まったく覚えのない封筒だった。まだ封はされていない。ということは、届いたものではなく、これから届けるはずのものらしい。
 深く考えずに、便せんを取り出す。
「────っ! な……!」
 危うく取り落としそうになった。
 白い便せんに几帳面な文字でつづられているのは、数々の愛の言葉。君を愛している──そういった類の文句が恥ずかしげもなく並んでいる。
 出だしには、アニーへ、の文字。
 それは紛れもなく、アニー宛てに書かれたラブレターだった。







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そんな感じで続くのです。
おお、連載ものっぽい引きだ!


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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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