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『真っ赤なスーツ』

10000ヒットいただきネタ、第二弾!
ウジョーさまからいただいたネタです。

クラウスさん関係のイベントその後ですので、ネタバレです。NOネタバレ! な方はご注意くださいです><






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『真っ赤なスーツ』



「ああっ、まちがえた!」
 できあがった品に、アニーは頭を抱えた。
 必要だったのは、普通のスイーツスーツ。
 しかし目の前にあるのは、見事な赤を誇るスーツだった。
 それまで赤い特徴の武器ばかり作っていた名残で、ついつい、赤いスイーツスーツを作ってしまったのだ。
 これではダメだ、使えない。
「やり直しかあ」
 とっておけば、なにかに使えるだろうが──しかし、こんなかさばるものをずっと置いておくというのも気が滅入る。
 だれかにあげようかな、と思い、しげしげと眺めてみた。
 赤い。これでもかと、赤い。
 くわえて、施されたフリルが、かわいいを通り越して奇抜だ。
 要するに、派手。
「こんなの、だれももらってくれないよねえ」
 肩を落とし、いっそ売りに行こうかと考える。
 ふと、閃いた。
 この派手さには、覚えがある。
「派手といえば、クラウスさんだよね」
 つぶやいて、思わず笑った。
 そうだ、もう国に帰ってしまったが、彼ならばきっと似合うだろう。幾度となくアニーを助けてくれた、謎の『大会参加錬金術師』──それは仮の姿で、実はシャガラダの王子だったことが判明したわけだが、彼は元気でやっているのだろうか。
 彼ならきっと、この真っ赤なスーツをこれでもかと着こなしてくれるはずだ。たとえまだこの辺りにいたとして、どうぞ差し上げます、などという勇気はないものの。

「アニー? どうかしたのか?」
 心配そうな、というよりも半ば呆れた声がかけられて、アニーは慌てて顔を上げた。
 いつのまにアトリエに入ってきたのか、ハンスが顔をのぞきこんでいる。
「あれ、ハンス。珍しいね、ノックもしないで」
「……何度もしたが返事がなかったからな。カギも開いていたし、もしなにかあったらと……じゃなくて、なんなんだ、さっきから。ニヤニヤして、気持ち悪い」
 腕を組んで、息をつく。アニーは頬を膨らませた。
「気持ち悪いって、ひどいなあ。ニヤニヤじゃなくてニコニコだよ。ちょっと、考え事」
「その赤い服を、見てか? 僕がいうのもなんだが、それはちょっと……」
「うん、派手だよね」
 私服に自信がないというハンスにも、このスーツの異常具合は伝わるらしい。ハンスにも似合うかな、と想像してみたが、上手にイメージがかたまらなかった。それはもはやハンスではない気がする。
 やっぱりクラウスさんしかいない──そう思うと、また笑みが漏れた。ハンスがさらにいぶかしげに、眉をひそめる。
「なにか、たくらんでるんじゃないだろうな」
「なにそれ、そんなことないよ。クラウスさんのこと思い出してたの。いまごろ、国に帰ってるのかなー」
 思ったままに口にすると、ハンスの表情がなんともいえないものに変化した。
 アニーは小首をかしげ、しげしげとハンスを観察する。
 予想しなかった反応だ。もしかしてと、ある予感がよぎる。
「ハンス、クラウスさんのその後、なにか知ってたり?」
「……知ってるわけがないだろう」
 なぜか、怒ったような声が返ってきた。
「なんで怒るの、わけわかんない」
「ジョエル王子だけではなく、クラウスさんのことも玉の輿の対象として狙ってるんじゃないだろうな?」
 それこそ予想外の返しに、アニーは目を丸くした。
 そんないい方をしただろうか。確かに、彼が王子だったと知ったときには、玉の輿に乗るチャンスを逃したと悔しがったものだが。
「そうじゃないよ。ただ思い出してただけだってば」
「ただ、思い出して?」
 ハンスの声には存分に怒気が含まれていて、アニーは尻込みした。
 なぜ、説教されそうになっているのだろう。
 なにかマズイことをいっただろうか。
「な、なんでそんなに怒ってるの」
 身を引きながら尋ねると、ハンスははっとしたように咳払いをし、そっぽを向いてしまう。別に、と説明にならない返事。
「ハンスってば、クラウスさんのことキライなのー? ハンスだって助けてもらったじゃん。強いしカッコイイし王子様だし、いうことないのに」
「そうはいっていないだろう。君はずいぶん、彼のことが気に入っているみたいだが」
「えー、そんなこといってないじゃん。好きだけどさ、もちろん」
 さらりというと、さらに周囲の温度が下がった気がした。怒っている、明らかに。
 アニーは考えた。ハンスがアトリエに来てからのやりとりのどこに、問題があったというのだろう。怒らせた心当たりがまったくない。
 うやむやにしてやりすごしてもいいが、それでは気持ちがすっきりしない。少し考えて、単刀直入、聞いてみた。
「怒ってるよね、ハンス?」
「怒ってなどいない」
 即答だ。怒っています、と同義。
「怒ってる理由って、もしかして……」
「ち、ちがう! というか、怒っていない、本当だ」
 今度は慌て出す。その反応で、アニーは確信してしまった。
 信じられなかったが、そういうことなのだ。
「ふうぅぅん」
 なんだか楽しくなって、笑みが浮かんでしまう。ハンスは目に見えて狼狽し、じりじりとうしろに下がった。
 形勢逆転だ。
「な、なんだ。ちがうぞ、怒ってなどいないからな」
「うんうん、わかってる、わかってる。ハンスってば、かわいいとこあるじゃん」
「か、かわいいとはなんだ!」
 顔を赤らめるハンスに、ますますテンションが上がる。アニーはニヤリ笑いのままで、手にしたものを差し出した。
「そんなに欲しいなら、あげるよ。もしかしたら、クラウスさんよりも似合うかもしれないしね」
 ハンスの表情が、かたまった。
 そんなに嬉しかったのだろうか。いいよいいよ受け取ってよ、ともう一押ししてから、反応がないことを不思議に思う。
「ハンス?」
 ハンスは、大きくため息をついた。まるで身体中の息を吐き出すかのように。
「………………いや……うん、そうだな。受け取って、おこう」
 恐ろしく遅い動作で手を伸ばし、真っ赤なスイーツスーツを持っていく。
 ひどく落胆しているように見えるのは、気のせいだろうか。
「あれ、ちがった? これが欲しいってことじゃないの? じゃあ、なんで怒って……」
「い、いや、ちがわない。ありがたくもらっておこう」
 挙動不審だ。今日のハンスはどこかおかしい。というよりとてもおかしい。
「今日のところは、これで失礼する。では」
 そうして、挨拶もそこそこに、まるで逃げるようにアトリエから出て行ってしまった。
 らしくない。
 あまりにも、ハンスらしからぬ行動だ。
「……ちがったのかな。っていうか、用件は?」
 残されたアニーは、釈然としない思いで、ぽつりとつぶやいた。











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いただいたのは、「自称「大会参加錬金術士」のクラウスさんの正体を知った後、姿を消した彼に思いを馳せるアニーを見たハンスが……」といった感じでした。
クラウスさんはとても派手、という設定からこんな話に。

きっとこの後、ハンスは何度もスーツを試着した末、やっと意を決してそのまま外出しようとして……涙目のダニエルあたりに止められるのだと思います(笑
ウジョーさま、ありがとうございました!!


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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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