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『ウソ発見器』

ごんじゃらのSSの大半は、リーズ姉さんのしょーもない薬と、カイルのしょーもない発明で構成されております。






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『ウソ発見器』


「ふっふっふ……」
 不敵な笑みを浮かべるアニーに、背筋がぞっとした。
 アトリエを訪れた瞬間、生きてるナワで捕獲され、あれよあれよとバカデカイ椅子に座らされた。扉から入りそうにはないので、中で作った──もしくは、組み立てられたのだろうか。このメタリックな装飾と無骨さ、なにより機械音には覚えがある。間違いなく、カイルの発明だろう。
「アニー、いったいどういうつもりだ」
 怒りをあらわにして、ハンスが呻く。アニーは実に楽しそうに、えへへと笑った。
「カイルが貸してくれたの。その名も、ウソ発見器──! これに座った状態でウソつくと、すぐにわかっちゃうんだって」
「な、なんでそんなものを……というか、どうして僕なんだっ?」
 ウソをついているという心当たりもない上に、カイルの発明だという事実が大問題だ。こんなところに座らされ、無事に生きていられるかどうか、生命ラインで不安。
「それはね……」
 アニーは、瞳を伏せた。
「ハンスってば、あたしのこと女の子と思ってないみたいなこと、いうでしょ。カイルがさ、あれは照れ隠しで、本当はアニーのこととってもかわいいに思ってるって決まってるさー! っていうから。そんなことないよっていったんだけど、確かめてご覧って、機械と質問票を貸してくれたんだ」
 最後には、にっこりと笑った。どうやらやる気満々だ。

 ハンスは気が気じゃない。なんて余計なことをあの機械士──椅子に固定された状態で、わなわなと震える。
 頭にかぶせられた重い帽子、これによってウソを判断するということなのだろうか。
「カイルの発明だろう、どうせ当たらない。ムダなことをやっていないで、錬金術の修行をしたらどうだ」
「今回は何度も実験してるから、精度は保証するって。ウソをついたらドキドキしちゃって、そのドキドキが帽子に伝わって、アラームが鳴るって仕組みらしいよ」
「し、しかし……! そんなことをする必要はないだろう!」
「まあまあ、ものは試しだよー」
 どうやら、逃げ道はない。ハンスは必死に思考を巡らせた。どうすれば、この状況から抜け出せるのか。

 アニーは、ウソ発見器についた赤いボタンを押すと、一枚の紙切れを取り出した。紙切れの裏側には、『ハンス極秘質問票』と書かれている。あれすらカイル作成だというのがまた問題だ。いったい、なにを聞かれるというのか──いや予想はつくのだが、考えたくない。
 頭上で、キュィィ、と機械音。アニーがハンスに歩み寄り、顔をのぞき込んだ。
「ええと……いまから質問します。ぜんぶ、イイエ、で答えてください。ハイと思っても、イイエで答えてね、ってことだってさ。黙秘した場合は、頭のソレが爆発するから注意、だって」
「し、死ぬだろう!」
「答えればいいんだってば」
 これは、へたをしたら本当に死んでしまう。日常のアトリエに足を踏み入れたはずが、どうしていきなり生命の危機に。いや、生命以外の危機も目白押しだ。

「じゃ、質問するねー」
 新しいおもちゃを試す子どものように、アニーは質問票を読み始めた。
「第一問、あなたは男性ですか?」
「…………イイエ」
 ビービービー。本当に、アラームが鳴った。ハンスはどきりとする。
 アニーは満足そうに、続けた。
「第二問、あなたは女性と接するのが得意ですか?」
「イイエ」
 今度は、無音だ。精度は保証する、というのは、どうやら本当らしい。
 ハンスは、生唾を飲み込んだ。
 どんな質問が飛び出してくるのかと、鼓動が早くなる。
「では、第三問。アニー・アイレンベルグは、かわいいと思いますか?」
 アニーの目が、きらきらと輝いている。来た──ハンスは返答に窮する。
 瞬時に、考えた。イイエと答えてアラームが鳴ってしまうのは問題だ。少なくともこんな状況で、こんなふうに伝えたいことではない。
 かといって、黙っていると頭が吹き飛ぶ。
「ハンスー? 答えて、答えて? あたしのこと、かわいいな~と、思う?」
「…………」
 ハンスは、意を決した。鼓動の早さは勢いを増していく。ぐっと腹に力を入れ、しかし落ち着いた声で、答えた。
「ハイ」
 ビービービー。アラームが鳴った。ハンスは心底ほっとする。
 ドキドキが帽子に伝わってアラームが鳴る──そんな単純な仕組みなら、ハイと答えても鳴るはずだという予想は、見事に当たったのだ。 

 しかし、アニーは大変気に入らないようだった。みるみるうちに表情が怒りに変わっていく。
 どうしてハイと答えたのか、とは聞かなかった。その代わり、質問を続けた。
「第三問。アニー・アイレンベルグが大好きですか?」
「……ハイ」
 ビービービー。
「第四問、アニー・アイレンベルグとずぅーっと一緒にいたいですか?」
「ハイ」
 ビービービー。
 それにしてもなんという質問を……ハンスは呆れる。あとでカイルに一言いわねばならない。いや、ひとことじゃ足りない。
 だが、それどころではなかった。アニーは怒りに震える手で、ハンスの戒めを解いた。帽子もはずし、ほとんど投げ捨てる。
「……お、終わったのか?」
「よおく、わかったよ」
 その声に、怒り以外の別のニュアンスを感じ取って、ハンスは慌てる。まさか、泣いているのだろうか。おずおずと手を伸ばそうとするが、顔を上げた彼女の瞳は濡れていなかった。
「つまりハンスは、あたしのことなんてやっぱりかわいいと思ってないし、大嫌いだし、片時も一緒にいたくない、ってわけ!?」
「────ッ!」
 あまりの衝撃に、ハンスは言葉を失う。そうではない、といおうとするが、確かにあの機械をまるごと信じるのならばそういうことになってしまう。
 かといって、どうやって弁解すればいいのか。君はかわいい、大好きだ、一緒にいたい──そんなこと、いえるはずもない。
「ア、アニー……」
 それでも、なんとか取り繕おうとする。しかし、時すでに遅し、だった。
「ハンスの、バカ──!」
 アニーが吠え、ハンスは文字通り、アトリエから叩き出された。



 ショップの店員をしていたリーズと、品揃えの管理をしていたぺぺは、扉の隙間から一部始終を見ていた。顔を見合わせ、そろってため息をつく。
「バカねえ」
「バカだな」
 どっちが、とはいわないものの──おそらく、両方のことだろう。
 
 後日、カイルの『ウソ発見器』はやはり不良品だったことが判明するまで、ハンスはアニーからねちねち嫌味をいい続けられることになる──

   



────────────
実際のウソ発見器の仕組みはよく知りませんが、あくまでカイルの作った品では、ということで。
しかし、色々聞いてどうしたかったんだ、アニー。オトメか、実はオトメなのか!?(でもオトメの行動ではない。

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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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