『愛ゆえに』
書 き す ぎ だ か ら …!!
ブログ始めたのが三日前とかって。どういうペース。
なら書きためて小出しにすればいいものを、それは性格上できないという。
今回は、ハンスがヤキモチとか焼いちゃう感じです。
あー、今後はペースダウンします……(これも毎回いってる気がする。
拍手ポチリ、本当に大感謝です><
*****
ブログ始めたのが三日前とかって。どういうペース。
なら書きためて小出しにすればいいものを、それは性格上できないという。
今回は、ハンスがヤキモチとか焼いちゃう感じです。
あー、今後はペースダウンします……(これも毎回いってる気がする。
拍手ポチリ、本当に大感謝です><
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『愛ゆえに』
肩を並べて歩く、二人の姿が視界に入った。
そのまま動けなくなってしまった。
実際には、肩は並んでいない。あまりにも身長差がありすぎて。
いかにも冒険者然とした、長身のキルベルト。隣には、よろよろと歩く錬金術師の少女。
抱えた荷物から、採取の帰りであることはすぐにわかった。
問題は、二人しかいないということだ。
自分が誘われた覚えもない。
ということは、キルベルトにだけ声をかけ、採取に出かけたのだろうか。ここ一週間は姿を見かけなかったから、おそらくその間、二人っきりで。
「採取の帰りか?」
できるだけ平静を装って、ハンスはそう声をかけた。
ハンスだ~、とアニーが情けなく返してくる。よほど疲れているのだろう。
「疲れたし重いし眠いよー。そんでお腹空いた……ああ~おじいちゃんが手を振ってるのが見える~」
「勝手に殺すなよ」
いつも通りのくだらない会話をしながらも、さりげなく様子をうかがう。取り乱さないのが不思議なぐらい、胸中は穏やかではない。
聞くのは不自然だろうか──そう思いつつも、ハンスは問いを口にしていた。
「二人で、行ったのか?」
アニーとキルベルトが、顔を見合わせた。それから、苦笑する。
そのアイコンタクトが気に入らない。
「ビュウもね、一緒の予定だったんだけど……」
「いざ出発! の時に行方不明でよ。で、追いてった」
「……黙って置いていくのは、ヒドイんじゃなのか?」
そうじゃないだろう、と思いながらも、そんな言葉が続いてしまう。けっこう待ったんだよ、と弁解するアニーの様子からは、すすんで置いていった様子は感じられない。
ということは──ハンスは、どうしても、邪推せずにはいられなかった。
キルベルトが、もう置いていこうと、いったのだろうか。
きっとそこには、意図があって。
「おい、メシなんだろ。その大荷物置いて、早く行こうぜ」
キルベルトが、アニーの帽子の上から頭を押さえつけた。そのまま片手一本で持ち上げるように、ずるずると引きずっていく、
「ああ、うん。そんなわけだからハンス、あとでね~」
へらへらと、アニーが手を振ってくる。
「──ちょっと待った!」
思わず、声に出していた。
アニーが目を丸くしている。キルベルトの表情を見る気にはなれず、ハンスは咳払い。
悟られないように、脳をフル回転させた。どう続けるべきか。不自然ではない何か、何か──
「アニー、悪いが、すぐに本部に来てくれ。リゾート運営のことで、君に伝えなければならないことが」
「うぇ、いますぐ?」
「いますぐだ!」
もう、取り繕っている余裕はなかった。
アニーの手を取る。
「うぅ、ひどい、なんか世の中があたしに冷たい……!」
大げさに泣き真似をしながらも、アニーはついてきた。荷物を抱えたまま、ありがとね、とキルベルトに手を振って。
キルベルトの声は聞こえない。
ハンスはそのまま、脇目もふらず、本部へと直行した。
「なんでしょうか、ハンスさま。まさかわたくし、なにかヘマでも」
ネガティブになっているのか、それともフリなのか、アニーがずいぶんと気弱に聞いてくる。
たどり着くことまでしか考えていなかったハンスは、返答に詰まった。
「いや、実は……」
書類を見るポーズをする。言葉が続かない。
適当な説教をしようにも、最近のアニーの成績はまったく悪くない。どころか、優秀だ。
相変わらず態度には問題があるものの、結果を出しているのだから、なにもいえない。
ハンスの頬を冷や汗が伝った。時間がもたない。
「──話しは変わるが、アニー」
「え、変わるもなにもまだ始まってないけど」
「いいから!」
もう強行突破を試みた。
「今後、採取に行くときは、必ず僕に声をかけてくれ」
勢いのままに、いった。
アニーが大きな目で、こちらを見返してくる。
「えー、でも、いつもは悪いよ。ハンスだって、お仕事あるでしょ」
「し、仕事はあるが、そういうことじゃなくて……とにかく、必ず、僕を誘うと、約束してくれ」
「なんで?」
直球で、質問がよこされた。
ハンスは動きを止めた。
なんで、と聞かれる展開は予想していなかった。というより、そこまで考えが及ばなかった。
何か少しでも、もしかして、と思うところはないものだろうかと、アニーの表情を盗み見る。
どこまでも、きょとんとしていた。
これはきっと、イチからどころか、ゼロから伝えなければ、伝わらない。
「その……急に、こんなことをいうと、驚くかも知れないが……」
もごもごと、口を動かす。
「うん?」
促され、生唾を飲み込んだ。
大きく息を吸い込む。
いうならいまだった。
周囲に人はいない。
勢いに任せてしまった感があるが、本来、こういうことはきっと、周到に用意するモノではない。
ハンスは、まっすぐ、アニーを見つめた。
そして、告げた。
「好きなんだ」
アニーが瞬きをした。ゆっくりと、二回。
ほんの数秒の沈黙。実際には、一秒もなかったかもしれない。
「──採取に行くのが、とても」
「え、そうだったの? なんだー、それならそうといってよ。ハンスってばどっちかっていうと引きこもりかと思ってたよ」
「君といっしょにしないでくれないか」
体中の汗が流れ出た。
あまりにも情けなくて、泣きたくなる。
「そっかそっか、あたしもさ、最近採取が楽しいんだよね。仲間だね、ナカマー!」
脳天気に、アニーが盛り上がっている。
「……ちょっと頭痛がするから、話しはまたあとで」
「だいじょうぶ? 仕事のしすぎだよ。たまには外に──あ、だから、採取か。うん、次は絶対誘うね!」
もうどの点について涙を流せばいいのかわからず、ハンスはとりあえず、そうしてくれ、とつぶやいた。
────────────
二次創作の世界ぐらい幸せにしてやれよ!
と思いつつもかわいそうでヘタレなハンスが大好物です。
肩を並べて歩く、二人の姿が視界に入った。
そのまま動けなくなってしまった。
実際には、肩は並んでいない。あまりにも身長差がありすぎて。
いかにも冒険者然とした、長身のキルベルト。隣には、よろよろと歩く錬金術師の少女。
抱えた荷物から、採取の帰りであることはすぐにわかった。
問題は、二人しかいないということだ。
自分が誘われた覚えもない。
ということは、キルベルトにだけ声をかけ、採取に出かけたのだろうか。ここ一週間は姿を見かけなかったから、おそらくその間、二人っきりで。
「採取の帰りか?」
できるだけ平静を装って、ハンスはそう声をかけた。
ハンスだ~、とアニーが情けなく返してくる。よほど疲れているのだろう。
「疲れたし重いし眠いよー。そんでお腹空いた……ああ~おじいちゃんが手を振ってるのが見える~」
「勝手に殺すなよ」
いつも通りのくだらない会話をしながらも、さりげなく様子をうかがう。取り乱さないのが不思議なぐらい、胸中は穏やかではない。
聞くのは不自然だろうか──そう思いつつも、ハンスは問いを口にしていた。
「二人で、行ったのか?」
アニーとキルベルトが、顔を見合わせた。それから、苦笑する。
そのアイコンタクトが気に入らない。
「ビュウもね、一緒の予定だったんだけど……」
「いざ出発! の時に行方不明でよ。で、追いてった」
「……黙って置いていくのは、ヒドイんじゃなのか?」
そうじゃないだろう、と思いながらも、そんな言葉が続いてしまう。けっこう待ったんだよ、と弁解するアニーの様子からは、すすんで置いていった様子は感じられない。
ということは──ハンスは、どうしても、邪推せずにはいられなかった。
キルベルトが、もう置いていこうと、いったのだろうか。
きっとそこには、意図があって。
「おい、メシなんだろ。その大荷物置いて、早く行こうぜ」
キルベルトが、アニーの帽子の上から頭を押さえつけた。そのまま片手一本で持ち上げるように、ずるずると引きずっていく、
「ああ、うん。そんなわけだからハンス、あとでね~」
へらへらと、アニーが手を振ってくる。
「──ちょっと待った!」
思わず、声に出していた。
アニーが目を丸くしている。キルベルトの表情を見る気にはなれず、ハンスは咳払い。
悟られないように、脳をフル回転させた。どう続けるべきか。不自然ではない何か、何か──
「アニー、悪いが、すぐに本部に来てくれ。リゾート運営のことで、君に伝えなければならないことが」
「うぇ、いますぐ?」
「いますぐだ!」
もう、取り繕っている余裕はなかった。
アニーの手を取る。
「うぅ、ひどい、なんか世の中があたしに冷たい……!」
大げさに泣き真似をしながらも、アニーはついてきた。荷物を抱えたまま、ありがとね、とキルベルトに手を振って。
キルベルトの声は聞こえない。
ハンスはそのまま、脇目もふらず、本部へと直行した。
「なんでしょうか、ハンスさま。まさかわたくし、なにかヘマでも」
ネガティブになっているのか、それともフリなのか、アニーがずいぶんと気弱に聞いてくる。
たどり着くことまでしか考えていなかったハンスは、返答に詰まった。
「いや、実は……」
書類を見るポーズをする。言葉が続かない。
適当な説教をしようにも、最近のアニーの成績はまったく悪くない。どころか、優秀だ。
相変わらず態度には問題があるものの、結果を出しているのだから、なにもいえない。
ハンスの頬を冷や汗が伝った。時間がもたない。
「──話しは変わるが、アニー」
「え、変わるもなにもまだ始まってないけど」
「いいから!」
もう強行突破を試みた。
「今後、採取に行くときは、必ず僕に声をかけてくれ」
勢いのままに、いった。
アニーが大きな目で、こちらを見返してくる。
「えー、でも、いつもは悪いよ。ハンスだって、お仕事あるでしょ」
「し、仕事はあるが、そういうことじゃなくて……とにかく、必ず、僕を誘うと、約束してくれ」
「なんで?」
直球で、質問がよこされた。
ハンスは動きを止めた。
なんで、と聞かれる展開は予想していなかった。というより、そこまで考えが及ばなかった。
何か少しでも、もしかして、と思うところはないものだろうかと、アニーの表情を盗み見る。
どこまでも、きょとんとしていた。
これはきっと、イチからどころか、ゼロから伝えなければ、伝わらない。
「その……急に、こんなことをいうと、驚くかも知れないが……」
もごもごと、口を動かす。
「うん?」
促され、生唾を飲み込んだ。
大きく息を吸い込む。
いうならいまだった。
周囲に人はいない。
勢いに任せてしまった感があるが、本来、こういうことはきっと、周到に用意するモノではない。
ハンスは、まっすぐ、アニーを見つめた。
そして、告げた。
「好きなんだ」
アニーが瞬きをした。ゆっくりと、二回。
ほんの数秒の沈黙。実際には、一秒もなかったかもしれない。
「──採取に行くのが、とても」
「え、そうだったの? なんだー、それならそうといってよ。ハンスってばどっちかっていうと引きこもりかと思ってたよ」
「君といっしょにしないでくれないか」
体中の汗が流れ出た。
あまりにも情けなくて、泣きたくなる。
「そっかそっか、あたしもさ、最近採取が楽しいんだよね。仲間だね、ナカマー!」
脳天気に、アニーが盛り上がっている。
「……ちょっと頭痛がするから、話しはまたあとで」
「だいじょうぶ? 仕事のしすぎだよ。たまには外に──あ、だから、採取か。うん、次は絶対誘うね!」
もうどの点について涙を流せばいいのかわからず、ハンスはとりあえず、そうしてくれ、とつぶやいた。
────────────
二次創作の世界ぐらい幸せにしてやれよ!
と思いつつもかわいそうでヘタレなハンスが大好物です。