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treasure『ツミホロボシ』

伽砂杜ともみさまにいただきましたー!
かわいいアニーと、やっぱりかわいいハンス。他の面々もすごく自然というか、とにかく顔がにやけてしまうこと請け合いです><
こういうアニーが、欲しい……!!!





*****





『ツミホロボシ』 BY 伽砂杜ともみ


「どうしよう」

 真剣な顔で開口一番出た言葉がこれだった。
 正面に座り、分量を間違えて大量に出来た金色のチョコラットをつまむぺぺは、呆れた顔で見返してくる。

「自業自得だろ? 大丈夫って言って、忠告聞かなかった罰だな」
「そ、そんな事言って! それを食べてるんだから、共犯でしょー!」
「バカ言うな。捨てるのもったいねーから食べてるだけだろ! たまにはこってり絞られてみるのもいいんじゃないか?」
「よくない! ぜんっぜん、よくない!」
「まあ。何言っても、今からじゃ間に合わない事は確かだしな」

 そう言って、体に悪そうな色をしたチョコラットに手を伸ばす。
 その時、アトリエの扉を叩く音がした。おもわず席から飛び上がれば、やれやれと言わんばかりにぺぺがため息をついた。

「あいてるぞー」

 疲れた顔のハンスが扉を開け、おもわず目を丸くした。

「ぺぺ、どうしたんだ」
「どうしたも何も、作りすぎたんだってよ」
「……ところで、アニーはいるか?」

 今までそこにいたはずのアニーは、影も形も見えない。
 あからさまに呆れた声で、ぺぺが呟いた。

「……逃げたな」
「という事は、やはり課題は出来てないという事か」
「ああ、出来てない。それよりどうした? どうも疲れてるようだな」
「あ、ああ。ここの所、少し立て込んでいたから……そうだ、ここで待たせてもらえないか?」
「いいけど、あんまり無理するなよ? ほら、甘い物は疲れに効くぞ」

 山と積まれた金色に輝くチョコラットを、ハンスへと押しやれば、見ただけで胸焼けした顔をされた。
 それを気にとめるでもなく口に運ぶぺぺを見て、ハンスも一つ口にした。
 ほろ苦さも混じったそれは甘すぎず、後残りがない。チョコラットにしてはビターで食べやすかった。

「なんだって、こんな大量に? その時間を少しでも課題にあててくれれば、自分の首を絞める事にならないだろう」
「オイラも毎回、口がすっぱくなるくらい言ってるんだけどな。たまにはこってり絞られて反省したらいいと思ったんだ。そういった事も、アニーの身になっていくしな」
「それもそうだな」

 ショップの扉の影に潜み、アニーは困った顔で様子をうかがう。
 ちょうど店番をしていたリーズが、楽しげに笑えば、彼女の頬が面白いくらい膨れ上がる。

「リーズ姉さん! 笑い事じゃないよ!」
「ごめんごめん。課題期限が近いのに、あんな事言っちゃった私も悪かったと思ってるんだから」
「でも……あ! もう一つ食べてる! ぺぺが余計な事言わなきゃいいけど」
「それは大丈夫じゃない? ぺぺだって、どうしてアニーが作ってたか知ってるわけだし」
「でもさ、今食べちゃってたら意味ないよー」

 しょぼくれてしまったアニーに、リーズが自分の額に人さし指をあて。そして何か思いついたように、その指をアニーへと向けてきた。

「じゃあ、こうしない? あたしがハンスをしばらくアトリエに近づけないようにするから、その間に課題とザッハトルテを作るの!」
「ザッハトルテ……そっか! リーズ姉さん、頭いい! でもでも、課題は期限今日まででしょ? 近づけないって……無理があるよー」
「まあまあ、その辺はあたしに任せなさいって! どうにかしちゃうから!」
「……酷い事は、しないでね?」

 さすがにハンスには申し訳ない気がしてきた。
 だがやり遂げなければならない事が、アニーにはある。
 嬉々として、アトリエに入っていくリーズ。それを見て慌てて立ち上がるハンスの顔はどこか青白い。

「ハーンスくーん。ちょっと用があるんだけど~」
「へへ変な薬なら、いりませんよ!」
「そ~んなんじゃないって~! アニーの情報なんだけど、いくらで買う?」

 その言葉に、扉にかじりついていたアニーが悲鳴をあげそうになり、かろうじて飲み込む。
 まかせなさいの意味に混乱しながら、それでも出て行くわけにもいかず、息を殺して見守った。とりあえず逃げる態勢だけは整えておく。

「なななんの事ですか!」
「アニーがどこにいるのか、知ってるのか?」
「ぺぺったら、違うわよ! ほーら、聞かれたくない話だってあるんでしょ~? ハ・ン・ス・くん。ちょっと外に出ようか~」
「え、ちょちょっと! 外はまずいというか……」

 問答無用、うろたえるハンスの腕をつかみ、リーズとハンスは揃ってアトリエから出て行った。

「……行った?」
「あのなぁ、ハンス疲れきってたぞ。少しくらい協力してやってもいいんじゃないか?」
「うん。これでも結構反省してるんだよー」

 そう言いながら、半分ほど減ってしまったチョコラットを取り上げる。

「お、おい!?」
「これは使い道が決まったから、とっとくの!」
「……ハンスは、あんまり甘い物好きじゃないみたいだぞ」
「え! 本当に? だってさっき食べてたじゃない!」
「そんな物よりも、栄養剤とか持っていってやった方が、絶対喜ばれると思うけどな」

 やれやれと立ち上がり、店へと姿を消した。
 アニーは、半分になったとはいえ大量に残っているチョコラットを見下ろした。
 机に乗せ、カゴをかぶせておく。

 ぺぺの言葉を考えながらも、アニーは意を決したように課題に取りかかった。

 *

「ハンス、ごめんね!」

 課題を提出しながら、心から謝った。
 ハンスは以前見た時よりも、さらに疲れた顔をしている。
 頭を下げているアニーだったが、おかしなくらいそこらじゅうから視線が突き刺さってきている気配がした。
 その視線を、委員の人たちにも、そんなに迷惑をかけてしまっていたのだ。と、アニーは受け取り、緊張した。

「アニーの評価が悪くなるだけなんだぞ」
「うん、分かってる。本当にごめんなさい」
「いや、これはすぐに審査に回してくる。アトリエで待っていてくれ」

 小さくため息をついたハンスを、頭を上げたアニーが慌てて呼び止める。

「あ! ハンス、ちょっと待って!」
「……なんだ」
「ごめんねっていうのと、その、遅れちゃったけど誕生日って聞いたから。すぐに渡したくて持ってきちゃったんだけど」

 差し出された紙袋は、雑貨屋で取り扱われている物で、色気はない。
 面食らった顔をしたハンスに、アニーはぎこちなく笑った。

「もっと、プレゼントー! って感じにしたかったんだけど、これから審査とか持ち歩くのに、可愛い包みとかだと恥ずかしいでしょ?」
「……あ、ああ。ありがとう」
「ううん! 本当にごめんね、来期は絶対に頑張るから!」
「分かった、期待しておこう」

 笑いを堪えながらそう応えたハンスに、アニーがほっとしたように笑う。
 その後、急に真剣な顔つきになったアニー。

「どうした?」
「あのね。ハンスが担当で、本当に良かった! 誕生日おめでとう、これからもよろしくね?」

 こちらこそ、アニーで良かった。
 そう言ったつもりだったが、強張ってしまった口から言葉はちゃんと出ただろうか? 彼女の耳に届いただろうか?
 アニーは途端にはにかむように笑い、小さく手を振った。

 ダニエルに呼びかけられるまで、ハンスは立ち尽くしてしまった。
 もうアニーの背中すら見えないというのに。

「ハンスさん! またケーキでも貰ったんですか? って、ああ何か買い物を頼んでいたんですかー」

 そんな声に、握りつぶしかけていた紙袋の中をのぞく。
 そして思わず笑みをこぼした。

 中に入っていたのは、栄養価の高いと言われる紙に包まれたカントホルツが三個と、小さな包み。
 なんだろうと開けてみれば、高品質と見て取れる大きなサフィールが出てきた。

 以前頼みに行った事を思い出し赤面すれば、ダニエルが心配そうな顔をした。

「ハンスさん? 熱でも出たんじゃないですか?」
「いいいや! なんでもない。そうだ! 審査に行かなければ!」

 疲れを忘れたように、そそくさと立ち去る彼を見送って、ダニエルは周りにいるハンスファン達に気がつかれないように小さく笑った。
 おいしいと噂のお菓子屋さんから購入された、ファンからプレゼントという名の大量のケーキの垂れ流しみたいな状況に、ここ最近ハンスは甘い匂いにも辟易していた。
 誰のプレゼントが喜ぶか。ファンの中でも緊迫した雰囲気が充満している。

「アニーさんも、考えましたね。あれならファン倶楽部の人達の目もごまかせるし」

 どうせ後からアトリエに行くのだから、その時に渡せばいいのに。と思いながら気づいた事実に、さらにクスリと笑った。

 一秒でも早く渡したかったのか。
 それなのに、当の本人はそれに気がついてないような素振りだ。
 ハンスに至っては、バレバレだというのに。

 ダニエルは、入口を見て困ったようにもう一度笑った。





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このオトメな感じのアニーが! たまらんです!! かわいいーっ><
さりげなく以前いただいたものとリンクしていたりするのがまたニヤリです。そんでもってすぐに薬を連想されるリーズ姉さんが素敵すぎる(笑
ああもう、こんなかわいいアニーを野放しにするのは危険だよハンス……!! 早くつかまえて!!

あかさとさま、素敵なSSをありがとうございましたっ><

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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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