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『強力のタブレット』

コメントをくださったやまなしさまから、素敵なイラストとリクエストが!!
というわけで、題名のまま、強力(ごうりき)のタブレットのネタです。
もろギャグテイストになってしまいました。

やまなしさま、ポップなイラストと楽しいネタを、ありがとうございました!!






*****






『強力のタブレット』


「でーきた! あたしって天才かも!」
 できあがった依頼品を前に、アニーは得意げに鼻を鳴らした。
 島に訪れたときにはまったくの素人だったが、ここのところは錬金術の腕もめきめき上がってきて、わざわざご指名で依頼を受けることも多い。
 今回の依頼は、『強力のタブレット』。
『力のタブレット』の強化版で、野生の力が凝縮された小さなタブレットだ。使えば攻撃力が飛躍的に上昇する。
「こんな小さな錠剤でねー……」
 アニーは一粒をつまみ上げると、しげしげと見つめた。
 アニーも戦闘には出るが、あくまでサポート、こういったものを飲んでまで戦ったことはない。ともに戦うハンスやジェリアはもともと強いので、渡したこともない。
 というよりも、こうして作ったのは今回が初めてだ。
 ちょっと、興味がわいた。
 テーブルの上には、複数の錠剤。依頼されたのは一つだが、調子が良くて作りすぎてしまったのだ。
 もちろん、今後のストックにしようという思いもあったのだが。
「飲んでみたら、どうなるのかな」
 いろいろな妄想が、浮かんだ。
 あっという間に力持ち、なんでもできちゃうスーパーガール、とか。
 やる気と元気と根気が上昇、錬金術の精度だって上がりまくり、とか。
 なんだか凄腕の錬金術師がいるらしいと噂になって、玉の輿まで一直線、とか。
 そこまで考えてしまえば、実行しない理由などなかった。
「……一粒だけ、ねー」
 歌うようにつぶやいて、ひょいと口の中に入れる。

 異変は、すぐに訪れた。
 なんだか胸がドキドキした。なんでもできるような気になってくる。
 力が湧き上がる、というのはこういう感覚をいうのかもしれない。アニーは高鳴る胸を押さえた。
 そして──これがアニーにとってはもっとも重要な事実だったが──意外なことに、おいしかった。
「なにコレ、いける! お菓子としても使えるかも!」
 思わず、もう一粒。
 なんだか気が大きくなって、もう一粒。
 そうなるともう止まらず、テーブルの上の錠剤は次々と姿を消していき──




 ──そのほとんどがアニーの腹の中に消えたとき、ショップにいたぺぺがアトリエに入ってきた。
「アニー、強力のタブレット、できたのか?」
 テーブルの前で微動だにしないアニーに、問いかける。しかしアニーは答えない。
「アニー?」
 師匠を無視するとは何事だ──憤然と歩み寄ったぺぺは、最後の一粒がアニーの口の中に入るところを、見た。
 すぐに、事態を察した。
「の、飲んだのか?」
 アニーが用意していたのは、一粒かそこらの材料ではなかったはずだ。飲んだのだとすれば、いったいどれだけの量を飲んだというのか。
「おい、アニー、考えなしにもほどがあるぞ! 薬だぞ、薬! 必要としてないのに、ホイホイ飲んでいいわけねーだろ! 毒にだってなるんだからな! だいたい、依頼はどーす……」
 まくしたてたぺぺだったが、アニーの眼光一つで、思わず黙った。
 目がすわっている。
 表情が、明らかに、いつもとは異なっている。
「……おい、どーした?」
「小せぇなりでキャンキャン吠えやがって。っるせえなあ」
 そのセリフは確かにアニーの口から流れ出て、あまりのことにぺぺは言葉を失った。
 とっさには、なにをいわれたのかわからない。なにかとてつもなく屈辱的なことをいわれたような。
「アニー、おま……」
「アニーさまだろ。なんで呼び捨てだよ」
「あ、ああのなあ! いいかげんにしろ! さっさと中和剤で正気に戻れっ、アニー……さまっ」
 立ちのぼるオーラに、思わず「さま」をつけてしまった。敗北だ。
 しかし、ぺぺはこのまま引き下がるつもりはない。適当に機嫌をとって中和剤を飲ませれば、元には戻らないまでも改善はされるはずだ。もしくは、杖で殴りつけて気を失わせるか。どちらにしろ、このままではいけない。

「……ごめん、ぺぺ」
 しかし、ぺぺの内心の策略をよそに、アニーはふいと目を伏せた。
「お、も、戻ったのか?」
 拍子抜けして、目をまたたかせる。アニーは弱々しくうなずいた。
「あたし、どうかしてたみたい。これ、お詫びっていうのも変だけど……特製のシュー。食べてくれる?」
 差し出された小さな菓子に、ぺぺはのどを鳴らした。
「ったく、しょーがねぇな……」
 うけとり、一気にほおばる。
「────!」
 それは、確かに特製のシューだった。
 ものすごい辛さ。
 激辛シューの辛味を何倍に凝縮したのだろう。さすがのぺぺも胸を押さえ、よろめく。
「ア、アニー……!」
「アッハッハ! やってやった! やってやった──! いつかぎゃふんといわせてやろうと用意してた、見た目はふつう、中身は激辛の特製シューだ! 参ったか──!」
 アニーの高笑いがこだまする。ぺぺが床に崩れ落ちる。


 そのヒドイ瞬間を、ちょうど訪れたハンスは見てしまった。
 目を疑った。
 なんという光景。
 ノックをしたところで高笑いしか聞こえてこないので、勝手に開けたのだが。
「──出直そう」
 英断を下す。
 そっと扉を閉め、きびすを返す。しかし、破壊音とともに腕が飛び出し、ハンスの手をつかんだ。
 扉は開いていない。
 手が、生えていた。
 アニーの腕が木製の戸を突き破り、ハンスを捕獲したのだ。
「な、な……!?」
「ようハンス、せっかく来たんだから、茶ぐらい飲んでけよ」
 もう片方の手が扉を開け、改めてハンスの頭をつかむ。扉を突き抜けていた手を引き抜いて、拳を握りしめた。いつでも殴れる体勢。
「飲みたい、よなァ?」
「…………っ!」
 ハンスは息を飲む。アニーにしか見えないが、アニーではないのだろうか。とんでもない事態になっていることは確かだ。あのぺぺが伏しているのだから。






「わ、わかった」
 かろうじてうなずいて、アトリエに入る。
 しかし、アニーは茶の用意をするそぶりはなく、どっかりとイスに座った。
「茶」
 どうやら、いれるのはハンスのようだ。息をしているかどうかも怪しいぺぺを横目で見て、内心で祈りを捧げながら、ハンスは勝手知ったる台所で茶をいれた。
  
 アニーの前に差し出す。自らも座り、言葉を選びつつ切り出した。
「……いったい、なにがあったんだ?」
「そっちこそ、なんなんだ」
 逆に聞き返される。なにを聞かれたのかわからず眉根を寄せると、アニーは鼻を鳴らした。
「あたしにいいたいことがあんだろう。もうずっと、いおうとしていえないでいるんだろ? マジメンスさんよ」
 アニーの手がカップをつかみ、あまりの力にカップはそのまま砕け散った。ハンスは身を引きながら、この状況よりも、マジメンスといわれたことよりも、彼女のセリフの内容に動揺して動けない。
 心当たりがないわけでは、ない。
 しかし、このわけのわからない事態で、どうしてそんな話になるのか。
「ぼ、僕は別に……」
「男らしくねぇな。いいたいことは腹にためてねえで、ちゃんと──」
 アニーは身を乗り出して、ハンスの鼻先すれすれにまで顔を近づけた。
「──いえよ。目を見て、はっきりと」
 ごくりと、のどが鳴った。どういうことだろうか。まさかなにもかも筒抜けなのか。どこまでも鈍感だと思っていた、彼女にさえ。
「アニー……」
 彼女がふつうではないことを知りながら、思わず口を開く。
 アニーはニヤリと笑うと、テーブルの上に百コールを突きつけた。
「金を借りたまま、返しそびれて一ヶ月! いついい出すか、ひょっとしたら忘れてんのか、忘れてんならそれはそれでいいけど急にいわれたらどうしよう──あたしの気持ちがわかるか! 返してほしいなら、ズバっと男らしく、そういったらどうだ──!」
 勢いのまま、机が割れた。まっぷたつ。
 輝かしい貨幣が、ちゃりんと落ちる。
 貸して、いたかもしれない。いっしょに食事に行った折りに。すっかり忘れていたが。
「……そっち……?」
 絶望的につぶやくハンスの頭上を飛び越えて、思いの外早く復帰したぺぺの杖が、アニーの脳天に直撃した。



 目覚めたアニーは、ハイテンション時の記憶をキレイさっぱり忘れていた。とはいえ、調子に乗って強力のタブレットを飲んでしまった記憶はあり、ぺぺとハンスからダブル説教を延々と聞かされることになる。
 特に、やるせないとばっちりを受けたハンスの説教は、普段のそれの三倍は厳しかったとかなんとか──






────────────
アニー、はっちゃけすぎたでしょうか(汗
ひたすら楽しく書いてしまいました。たぶん自分が一番楽しんでます。ありがとうございます。
いやもうこのイラスト見てるとにやけが止まらなく……! こういうのほんと好き!!
やまなしさま、本当にありがとうございます>< イメージ違っていたらゴメンナサイっ!
 
そろそろ甘いのも書きたいなァと思ってますが、更新ゆるゆるしそうです。
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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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