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『カイルさんの宝物』

ずーいぶん前に瀬名さまからいただいていたネタです。
カイルをまともに出すのは初めてです。キャラどーなんだコレ。だれコレな感じだったらゴメンナサイ。






*****





『カイルさんの宝物』 1



「やあ、アニー! ヒマかい? ヒマだね。じゃあお茶でもしようじゃないか」
 町でばったり会ったかと思うと、カイルは一方的にまくしたて、上機嫌でずんずんと足を進めた。全然ヒマじゃない、といってみたものの受け入れてはもらえず、アニーは仕方なくカイルと並んで歩く。そんな気はしていたが、着いた場所はカフェやレストランではなく、アニーのアトリエだった。

「お茶しようか、じゃなくて、お茶ください、じゃないの。なんであたしがかいがいしくカイルにお茶いれなきゃいけないの」
 ぶつぶついいながらも、アニーは茶を用意する。音をたててカイルの前に置いた。態度のやたら大きい異国の機械師は、ニヤリと笑って眼鏡を持ち上げる。
「なぜって? それはもちろん、自慢したくてたまらないものがあるからさ。アニーだって見たいだろう? いやいや、答えなくてもわかってるとも! 見たくて見たくてたまらないはずさ、そうだろう!」
 指を突きつけられ、アニーは目を細める。イスに座り、茶をすすった。
「どっちかっていうと、帰って欲しくてたまらない」
「いやいやいや、それはさすがに」
 多少ひるむ様子を見せながらも、一歩も引き下がらない。どうせいつものくだらない発明か、そうでなければ怪しいルートで手に入れたやはりくだらないものに違いない──時間の無駄だとは思いつつも、もう自慢を聞いてしまった方が早いような気がして、アニーはしぶしぶ息をついた。
「もー、じゃあ早く自慢してよ。聞いてあげるから。あたしだって忙しいんだよ」
「では惜しみなくさらそうじゃないか! とくと見よ──!」
 じゃじゃーん、と擬音すら声に出し、カイルは金属製の輪を取り出した。鎖の両端に、こぶし大ほどの穴の空いた輪が一つずつ付いている。輪の部分には複数のガラス部分が取り付けられていた。
「ナニソレ」
 どうやらくだらないものには間違いなさそうだったが、一応聞いてみる。カイルはキラキラと目を輝かせ、鼻息荒く解説を始めた。
「手錠、というのを知ってるかい。ボクの国では、まあ、犯罪者を捕らえるときに使うんだけどね。これはそれのアレンジ版で、名付けて、『キミとボクとの恋のキューピッド的金属な赤い糸』!」
「…………」
 アニーは黙った。なんというか、黙るしかなかった。
 帰れ、といいたい。それを「自慢」されたところで、いったいどういう反応をすればいいというのだろう。
「……で?」
 とりあえず、促してみる。なんだか、ずいぶん年上のオトナが、恐ろしく子どもに見える。
「え? 使い方? 使い方が知りたいって?」
 そういう意味ではなかったのだが、カイルは大変いそいそし始めた。実に楽しそうな笑顔で、輪っか部分をぱかりと開ける。
「片方を、ラブなレディの手につけるのさ。で、もう片方は、自分につける……っと。ほら、これで、もう離れられないだろう?」
 がしゃん、とアニーの右手に取り付けた。自分の左手にも付けて、引っ張ってみせる。鎖で繋がれているそれらは、当然その長さ以上に伸びることはない。 
 説明のためとはいえ、元々は犯罪者用という輪を自分の手に付けられているのは、決していい気分ではない。アニーは顔をゆがめた。
「これ、気になる誰かに使ったりしたら、余計に嫌われるんじゃない?」
「そこはほら、うまく使うのさ。相手の反応を見ながらね。手錠のとこ、ライトが点いているだろう。装着者の体温に応じて光るんだ。きゃっ、あなたと一緒で嬉しいわ! ってドキドキしてるときには赤、特になんとも思ってないときには青、イヤでイヤでしょうがないときには黒いライト。ここがボクの画期的な発明ってわけさ!」
 アニーは、カイルの手を見た。青いライトだ。それから、自分の手に視線を落とす。
 真っ黒。
「イヤでイヤでしょうがない」
「……いや、いわなくても。だいじょうぶ、すぐ外すから」
 カイルは空いた手でポケットを探った。不発だったのか、身体をねじ曲げて別のポケットへ。やや急いで、次のポケット。服についているすべてのポケットを探る。
 冷や汗が見えた。
 アニーはきっちりと、事態を察した。
「……カギは?」
「あれー」
 もう一度、ポケットを探す。
 カイルは深呼吸をした。右手で拳をつくって顎に当てると、首を傾ける。
「なくしちゃった、てへッ」
 ぶちりと、アニーは自分の中でなにかがぶち切れる音を聞いた。
「かわいくなぁい! 困る、困るよ! なんとかしてよ! スペアキーとかないのっ?」
「あるかないかといわれれば、まったくもってナイね」
「ちょっと──!」
 そのとき、丁寧なノックの音がした。だれのものかはすぐわかる。アニーは八つ当たり気味に、どーぞと吠えた。
 声が漏れていたのだろう、来客はいぶかしげに戸を開ける。
「アニー、一体なにが……」
 そうして、二人の状態を目の当たりにした。
 手錠に繋がれた、アニーとカイル。
「──! ……っ?」
 ただ口を開けて、言葉が声になることはなく、ハンスは手にしていた書類を丸ごと落っことした。







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さらっと書きましたが、この発明品はあまりにも……
イヤらしいわ! 破廉恥だわ!!
に続きます。

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  Name : 光太朗。
  性別女、またの名を光太朗子。
  『アニーのアトリエ』ハマり中。

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